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10th ページ11

いつからこうなってしまったのか。
いつから狂ってしまったのか。
その答えを知る術は無いけれど、アルにはまだ使命があった。

大将を亡くしたにもかかわらず、兵達は争いを続けているらしい。
しかし、この世界を守る存在として息づく精霊の存在が、戦をとどめていた。
ならば、と彼らがするのはただ一つ。

精霊を封印すればいい――

哀れな幻想にうぬぼれた者達は、精霊の住まう森へと向かっていた。

……駄目だ。
精霊を封印してはいけない……。

フィオーレとは、花を意味する言葉である。
花の導きにより、アルは精霊を探して森へ向かう。

“フィオーレ”は、精霊を守る存在。

精霊を守ることが、生を受けた者の定め。生きている限り、精霊を守らなければならない。
根に引っかかり、地面に転がる。それでも、すぐに立ち上がって走り出す。
すでに服はボロボロだった。


「精霊よ、古より伝わりし精霊よ……今ここに、その命を滅す!」


ひどい、過ちだ。
過ちを犯してはいけない。人間は、報いを受ける。
同じように、戦がすべてを崩落させるそのときに。
「やめろっ……!」
アルの叫びに、何人かが振り向いた。しかし興味がないと言ったふうにまた目線を戻す。
雷の結界は、その扉を閉じようとしていた。どちらの兵も、邪魔な存在の終焉を見守っていた。

精霊はアルを見つけ、訴えた。
花が散る、その前に。

結界に触れた森が枯れてゆく。もう手遅れだと告げるように、尊い命が奪われてゆく。
どんなに訴えても、その結界は消えなかった。
そのとき、アルの体から――オーラが現れた。

始めに現れたのは、金色。やがて金は漆黒や赤、レモン色などに染まっていく。
また、兵達からもオーラが現れた。白、青、朱色、――
その多彩な色は、結界に吸収されていく。

精霊の大きすぎた怒りはすべてを飲み込んで、精霊を魔王へと変貌させた。

瞳も髪も、漆黒に染まっていく。闇がすべてを飲み込んでいく。
「あ……嗚呼……」
薄れていく意識の中、アルは確かに見ていた。屍となった兵達の向こうに、怒りに震える『精霊』を。

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紅映(プロフ) - あの、プレリスに載せてもいいですか? (2011年10月5日 19時) (レス) id: 3de99fac11 (このIDを非表示/違反報告)
フリージア(プロフ) - >美稀 オリジナル…です。 (2011年6月6日 23時) (レス) id: 4317b84763 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フリージア | 作成日時:2011年3月28日 12時

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