泣かせたのは ページ11
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深田side
目の前には顔を隠してちっさくなってしくしく泣いてるAちゃん。
「ねぇ、誰泣かせたん?」
「俺じゃないって!」
俺がトイレに行って戻ってきたらこうなっていたAちゃん。さっきまではご機嫌さんだったのに。
ちなみに湧くんは今撮影中でいない。
Aちゃんの手をどかして顔を覗き込むと目は真っ赤でちょっとだけ息も苦しそう。
「泣かないで、」
そう言うけどぽろぽろ溢れ出る涙の量は変わんなくて、何度も落ちてくる涙を拭ってあげることしか出来ない。
「だれ?泣かせたの、」
バツを悪そうに目をそらすのは渉くんと長瀬と悠仁。
「湧くんもうすぐ戻ってくるよ」
って少し脅し言葉。
「いや!違うって、泣くと思わなかったんだって!」
「なにしたん?」
「3人でゲームしてて、負けたヤツ罰ゲームでAちゃんの持ってる湧くんのパーカー取ろうって、取ったら泣いちゃって」
そういう長瀬の手には湧くんのパーカー。
湧くんが撮影前に自分が着ていたパーカーを寂しそうにしているAちゃんに渡していたのを思い出した。
「貸して」
長瀬からパーカーを奪い取ってAちゃんの膝にかけてあげる。
「Aちゃんごめんなさい」
謝る長瀬にぷいっと顔を背けたAちゃん。
あっ、嫌われた。
「えぇAちゃん、ごめんなさいって、」
「意地悪する人いやだって」
「まじ、やらかした」って頭を抱える長瀬と「湧には言わないで」って縋ってくる渉くん。
「いや、こんなに泣いてたら目見たら分かるだろ」
というと絶望した顔の3人。
あ、湧くんタイミングよく帰ってきた。
「A、泣いてんの?」
入ってきて直ぐにAちゃんの変化を見つけて近づいてくる。
「わっくん、」
「どした、なんで泣いたの?、誰かに泣かされた?」
頭を撫でながらもう片手はほっぺに添えて屈んでる湧くん。
「んーん、ドラマ見てたら感動しちゃって、」
「そうなの、目赤くなってる、」
って心配そうに眉を下げてる湧くん。
Aちゃん優しい。
こういうとこやっぱ湧くんに似てるんだよな。
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作者名:にゃん | 作成日時:2023年3月6日 19時