28 * side kiyo ページ30
キヨ「押しかけてごめんな。」
A「入って、ください。」
俯いたままの彼女の頭を撫でると、一言だけ残して急かすように部屋の方へ入っていく。そんな背中を追って久しぶりに入った部屋は、見慣れたはずの、変わらない可愛らしさを持っていた。
キヨ「お邪魔します。」
A「何もないけど、」
キヨ「ありがと。」
いつの間にか目の前に置かれたお茶。走って来たからか、かなり喉が渇いていて迷わず一口含む。あ、これ綾鷹じゃん。Aも綾鷹飲んでんだなあ…なんか嬉しい。
A「…話って、なんですか?」
キヨ「っと、」
A「あ、さっきのなら気にしないでください。キヨさんが誰といようと、私には関係ないですから。」
キヨ「は、」
ーー『関係ない』
その言葉がやけに重くのしかかってきて、それじゃまるで、俺には興味もないってことかよ。
よくわかんねえけど、むしゃくしゃする。
A「あの時はなんか、驚いちゃって。お邪魔して申し訳ないです。」
キヨ「じゃあさ、なんで泣いてんの?」
Aが何か言ってた気がするけどそんなん聞こえるはずもなく、俺の中の何かが弾けて溢れ出してしまいそうだ。
A「……」
キヨ「俺に関係ないなら、なんで泣いてんの?理由あんだろ?他に。」
A「…っ、」
キヨ「早く言えよ。」
A「その、仕事……が大変、で、、」
俯いている彼女の頬には涙が流れてると思う。今は確実に、俺が原因で泣いてる。まじで自分なにやってんだって感じだけど、関係ないって言葉に俺はどうしようもなく追い詰められていて、自分でも制御が効かない。
キヨ「本当かよ、」
何も答えない彼女の姿はやけに小さく見える。泣かせている自分に腹が立って来て、二人の間を阻むこのテーブルをどかしてしまいたい衝動に駆られる。
キヨ「お前さ、嘘つくの下手なの俺は知ってんだよ。」
A「嘘、とか、、」
泣き顔とか、見るのいつぶりか。Aは別れを告げた時も泣かなかったし。ああ、もう無理。いつのまにか身体は彼女の隣に動いてて。
キヨ「おいで。」
迷いなく飛び込んで来た温もりと匂いは、確かに俺を落ち着かせるもので。彼女を守るふりをして、結局救われてるのはいつも自分の方だった。
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ゆう - あーーーぜひ続きをぉ!最高ですぅ! (7月17日 2時) (レス) @page33 id: 296f8e7140 (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - あぁもう好きです。キヨさんがかっこい…!続き待ってます!! (2020年3月8日 22時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
にぼし - とても素敵な作品ですね!これからも楽しみにしています! (2018年10月20日 14時) (携帯から) (レス) id: 67b0752e5d (このIDを非表示/違反報告)
ぽる。(プロフ) - めちゃめちゃドキドキしながら読みました!!更新めちゃめちゃ楽しみにしてます!!!! (2018年10月14日 8時) (レス) id: ea71c9b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
あぉ(プロフ) - 好きです(突然の告白) (2018年10月8日 23時) (レス) id: f4c22e4712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のの | 作成日時:2018年3月14日 1時