20 * side kiyo ページ21
それなら、と答えたAは着替えを持って風呂の方に向かっていった。いや、正直あの言葉は無意識のうちに零してたもの。恐る恐る家に誘ってみたら来てくれたし、今日は帰って欲しくないなあなんて思ってたらいつの間にか言ってしまってて。次の瞬間、あいつがゲームの手を止めたのを横目で見て言わなきゃよかったと後悔した。まあでも、結果オーライってことで、今の俺はかなり上機嫌。
キヨ「この辺に……」
クローゼットにしまったはずのそれをごそごそと探し出す。こんな奥にしまったか?
キヨ「あったあった。」
結構な奥にあったそれはAが前にこの部屋で使ってた枕。可愛らしい熊のキャラクターの顔が付いたもの。別れた後、自分の枕の横に並ぶこれを見るのがなんだか苦しくて、見えないところにしまい込んだんだっけ。
キヨ「…ふっ、」
ベッドに置かれた枕の横にそれを並べて、なんだか懐かしさが溢れた。あ、本当に手出したりする気は無いからな?俺の家には布団がない、だからベッドで一緒に寝るしか無い、うん。仕方ないこと。
A「あ、それ…」
キヨ「おう、おかえり。」
自分の心の声に頷いていれば部屋の扉が開く音がしてAの声が聞こえた。見慣れてたはずの部屋着姿は、なんかやっぱ、可愛い。
A「お風呂、ありがとう。…それもまだあったんだ。」
キヨ「まあな、俺物持ちいいからさ?」
A「…懐かしい。」
キヨ「スルーすんなよ!」
そう言えばふふ、と笑う彼女。ほっとするんだよなあ、こいつが笑ってると。やべえ、俺一緒に寝て大丈夫か?今更不安になってきた。
A「…ていうか、もしかして一緒に寝るの?」
キヨ「俺んち布団ねえもん。」
A「え、じゃあ帰りま」
キヨ「だめ。」
扉の方へ歩き出そうとする彼女の腕を掴む。今更帰すわけねえじゃん。いやさっきは自分大丈夫か、とか不安になってたけどさ。我慢してでも一緒にいたいに決まってんだろ。
A「ええ〜〜」
キヨ「やだ。絶対何もしねえから…帰んなよ。」
A「……冗談です。」
キヨ「お前!襲う……!」
本当にこいつに振り回されすぎてると思う。俺こいつにぞっこんみたいじゃん。まあ事実だけど。腕をぐっと引っ張ってベッドの上に組み敷くと、Aは笑いながら「キヨさんは無理矢理するような人じゃないって知ってます」なんて言ってきやがる。先手必勝。そんなこと言われて手出せるわけがない。
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ゆう - あーーーぜひ続きをぉ!最高ですぅ! (7月17日 2時) (レス) @page33 id: 296f8e7140 (このIDを非表示/違反報告)
星月_hosituki_ - あぁもう好きです。キヨさんがかっこい…!続き待ってます!! (2020年3月8日 22時) (レス) id: d71fa0da5d (このIDを非表示/違反報告)
にぼし - とても素敵な作品ですね!これからも楽しみにしています! (2018年10月20日 14時) (携帯から) (レス) id: 67b0752e5d (このIDを非表示/違反報告)
ぽる。(プロフ) - めちゃめちゃドキドキしながら読みました!!更新めちゃめちゃ楽しみにしてます!!!! (2018年10月14日 8時) (レス) id: ea71c9b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
あぉ(プロフ) - 好きです(突然の告白) (2018年10月8日 23時) (レス) id: f4c22e4712 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のの | 作成日時:2018年3月14日 1時