ふわふわ。 (ページ6)

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夕焼けに染まった廊下を好きな人と歩く。

高校生活も2年目だが、入ったことがなかった資料室に初めて足を踏み入れた。

『凄い、本の匂いする。』
｢資料室だからね。｣

あはは、と笑って先生は言う。

2人並んでまた廊下を歩いて教室に戻った。

教室に戻って鞄を手に持ち外に出ようとすると、
｢あ、待って先生も出る！｣
と慌てて教科書やら出席簿やらを手に持ち鍵を手に取ったので先に廊下に出て先生を待った。

人が待ってるから急がなきゃ、というのは分かるけど
先生の場合…
｢んん…？なんで入らないの。｣
と頭の上にはてなマークを浮かべながらガチャガチャと鍵を閉めようとしている。

『先生、焦ったら余計入らなくなるやつな！』
と言って先生の代わりに俺が閉めた。

｢おお、なんで入らなかったんだろ。｣
歩きながら鍵を先生に渡した。

職員室の近くまで来たからここからは1人で帰ろうと『さよーならー。』
と言うと、
｢あ、待って待って！｣
とまた呼び止められた。

｢ちょ、ちょっと待ってて｣
と職員室に入っていってしまった。

今度は俺が頭の上にはてなマークを浮かべながら背中を壁に預けて先生を待っていた。

1分もしないうちに先生は戻ってきて、何故か俺と同じ方向に歩こうとする。

なんだろうと思いながら歩いていると、学校に設置されてある自動販売機が見えた。
先生はたたたっとそこに駆けていく。
ああ、飲み物欲しかったんだ。と1人で納得して後ろをのろのろとついて行くと、
｢伊野尾くんなにがいい？｣
と聞かれた。

『え？』
｢なにがいい？｣
『いや…なんで？』
｢前も、今日も手伝ってくれたし！…本当は用事あったんでしょ？｣

…ほんとにないんだけどな。
『いや…ないよ。』
｢まじ！？じゃあ良かった！…で、何がいい？｣
『別に大したことしてないから大丈夫です。』
少し笑いながら言うと、不服そうな先生。

｢…伊野尾くんは先生にお礼もさせてくれないの。｣
ってジト目で見てくるな！！！

『ーー、じゃあこれ。』
｢あ、コーラ？コーラばっか飲んでると身体悪くするぞ。｣
とか言いながら結局買ってくれるんだもん。

がこん、と鈍い音を立てて下に降りてきたコーラを手に取った先生は
｢手伝ってくれてありがと！｣
と笑顔でコーラを差し出した。

『…ありがとうございます。…やったね。』
｢へへ、じゃあ気をつけて帰るんだぞー。｣

と言うと職員室に帰って行った。