安心したよ二口 ページ9
二口君が普段人から借りたものを大事にしない子みたいになってますが、ご了承ください
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ある日、課題の提出日の3日前のことだった
うちのクラスでは、事前に配られた問題集の課題が出た
〇〇ページから〇〇ページまで、まる付けまでやってくる…という小学校からの定番課題
ちなみに私はその教科は得意科目だったので早めに終わらせていた
まぁ、恒例の休み時間に二口が「おい、さといも」と言いながら近づいてきた
今日は何をしてくるのかと身構えていたのだが何もしてくる様子はない
「二口?どうしたの、何か用?」
「問題集の、答えの冊子……かせ」
もじもじしながら言うから、何かと思えばそんなことか…
「ふふふっ」
「っ!んだよ!」
「いやぁ?ほい、答え」
「ん、借りる」
妙に身構えた表情だったからびっくりしちゃったよ…
「え!?お前二口に物貸したの!?」
二口に答えを貸した次の日の授業中
自習の時間になったのでみんながわいわいとおしゃべりを楽しんでいた
もちろん私も隣の席の男子と喋っている
「貸したけど…なんで?」
「あー、どんまい…アイツに物貸したら元の状態では帰ってこないぜ…」
「え」
「貸したやつみんな言うからな?俺も前にもの貸した時、地味に壊れてたしな…青根から借りたもの以外はだいたいそうだぜ」
なんて同情の目で見てくる男子…
“二口に物を貸してはいけない”なんで話を他の男子からも聞いた
まじかぁ…まぁ、別に答え冊子だからいいけども…破れてたらどうしよう…
「おい、さといも」
「ふぁい!?」
二口のことを考えてた時に本人に話しかけられて変な声が出てしまった
「ん……助かった、ありがとな」
もじもじした様子で私に答えの冊子を渡してきた二口
そこにあったのは、破れてるなんてことも、折れてるなんてこともない私が貸した時のままの状態の答えの冊子
「え、うん…またいつでも言って」
それだけ聞いた二口はポッケに手を突っ込んでそそくさと去って行った…
“二口に物を貸したら元の状態では帰ってこない”
なんだ、全然そんなことないじゃん…
不安になって損した…
貸したものがそのままの状態で帰ってきたという当たり前のことにちょっと嬉しくなってほおが緩んだ
その後も色々貸したりしたが、壊れたり、汚れたりして帰ってくることは一度もなかった
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作者名:もちうさ | 作成日時:2021年8月30日 18時