恥ずかしいからやめて二口 ページ17
マラソン…それは、暖かそうな服を着てただ立っているだけの教師に殺意が湧く地獄の時間
運動が苦手な私にとってはさらに地獄の時間だ
そして何より嫌なのは今回のマラソンは近くで工事がある影響で普段なら町内一周くらいで済むものが、学校の周りを3周ほどしなくてはならないこと
何がいやなのかって?
私は運動部でありながら体力がなくて走るのも遅いからいつもいつも最後にゴールするのだ
最後まで残るってことは、走り終えた人にたくさん応援されるってこと
それが、少し辛い
皆んな頑張れって言ってくれるけど、それが、それに応えられそうにない自分が辛いのだ
答えようだなんて思わなくてもいい
沢山の人にそう言われるが、どうしてもそう思ってしまう
息が切れる、辛い、足が痛い、もう嫌だ
そんな言葉が頭を占めたときにゴール地点…つまり、走り切った人たちがいて、3周目に入る人にとっては残り一周を知らせる地点を通過した
「頑張って!!」
「後ちょっとだよ!!」
「Aーいけー!」
そんな声が男女関係なく聞こえる
ありがたい、ありがたいけどちょっと辛い
「さといもー!息吸うこと忘れんなぁ!」
そんな声が聞こえてきてそちらを向けば、そりゃ、まぁ、二口がいた
真剣にこっちを見ていて、応援してくれてることがわかる
二口が応援してくれているというのも、ただの頑張れって言葉じゃないことも嬉しい
でも
「さ、といも、って…さけばな、いで、っ!」
恥ずかしいから!!
こんな絶え絶えな声は聞こえていないだろうというくらいの声だっただろう
まぁ…訂正してくれなくてもいいかな
あの二口が応援してくれたってだけでも割と嬉しいかもしれない
もう少しでゴール地点をすぎる
あぁ、後一周だ………
「落ち着いて走れ!A」
自分の耳を疑った
だって今まで一度もそんな呼び方したことないじゃない
でもそれは確かに二口の声だった
よし、頑張ろう
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作者名:もちうさ | 作成日時:2021年8月30日 18時