静寂の鷹【ハイキュー】

鷹のみぞ知る ページ5

春高バレーが終わってすぐのことだった。




家に返った時、父と兄は私が優勝したことを大いに喜んでくれた。父は涙も流すほどに。「歳だから涙もろいの！！」とぷんぷん怒る父がなんだか愛らしかったのを覚えている。



翌日の朝、その愛らしかった父から告げられたことが衝撃的すぎた、というのもあるだろう。




＿＿＿＿＿＿


翌日＿＿




「A、大事な話があるから降りてきなさい」



部屋で久々にゴロゴロしていると、父が真剣な顔つきで私にそういった。



お茶目な父の事だ、きっと何かサプライズでもしてくれるのだろう。バレバレだっての。



母は小さい頃に難病に侵され、最後までもがき苦しんで亡くなった。小さかった私には到底理解の出来なかった話なのだけれど。


その為母に代わり、父が私たちをここまで育ててくれた。



「好きなこと好きなだけやんな」



父はいつも私と兄にそう言い聞かせた。おかげで私はのびのびとバレーをさせてもらい、兄は今年の春から難関大学の医学部に進めることになった。


うちにはお金があまりないのは幼少期の頃に何となく察していたものだ。だから兄を難関大学の医学部という莫大なお金のかかる所へ笑顔で送り出せるのだろうか、と不思議には思ったが口には出さなかった。

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