静寂の鷹【ハイキュー】

名もなき話2 ページ19

『では、次の質問です。宮A選手の現役復帰、そして奥さんになった今、どう思われていますか？』





今日のMC、やけに食い気味に質問をするもんだ。あの人はいつもならこんなに食い気味にMCをやるような人ではないと思う。


あ、そういえばあのMC、宮選手のファンだっけ。


答えようによっては不味いんじゃ……


そんな私の届かぬ杞憂は塵となって燃えた。






『俺以外にA幸せに出来るやつはおらん。勿論、俺を幸せにできるんもAだけなんですよ。



あ、選手復帰したんは嬉しいです。あいつのプレー大好きなんで』




『え、あぁ……はい。なるほど…』




こんなかっこいいことを平然とした顔で言ってしまうのだからテレビを見ていたこっちが恥ずかしくなる。


あと、無念なMC。残念だったな。



「愛されてんなぁ…」





今度は口から零れた。かなりデカめの声だったから下の階や隣の階の人に聞こえてないといいんだけど…







デスクを開くと新品の茶封筒に自信なさげに書かれた【辞職届】の文字が見えた。




そういや、ここの会社ほんとに嫌だったんだよなぁ。自分のないたいものに1番近かった気がしたけど気の所為だったんだっけ。




「Aを幸せにできるんは俺だけ、俺を幸せにできるんもAだけ」か、




茶封筒を思いっきり破って新品の茶封筒を新しく出す。




＿＿＿＿今度は自信ありげな字で【辞職届】と大きく書いた。

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