喧し豚。【ハイキュー】

39本目 ページ42

「失礼しまーす…」


「なんでそんな嫌そうな顔してんの、黒尾さん悲しくて泣いちゃうよ？」



体育館に入るなりしくしくと泣き真似をする黒尾さん。男子高校生の泣き真似より酷いもんないんちゃうん？


ないわ…



「黒尾さんドン引きされてますよ」


「ちよっと鷹刀ちゃん？！」


「音駒の主将こんなんとかメンバーが可愛そうで…」


「お母さんそんな子に育てた覚えありません！！」




…うちもこんなお母さんに育てられた覚えないわ。


暫く黒尾さんが騒いどったら烏野の…メガネ君がちょうど目に入った。黒尾さんが呼び止められて嫌そうな顔をしたかと思うと「僕もう上がるんで、失礼します」と言って足早にその場を去ろうとする。


そうはさせるか、ブロックがないのにスパイク練習出来るわけないやん。いや、できるけど。ブロックがあるのに越したことはない。



「見えないかも知んないけど……木兎は五本の指、鷹刀ちゃんは三本の指に入るエースだぜ？」


「ふん！！」


「木兎さんは三本の指には入れてませんけどね」


「…どんまい」


「落とすくらいならあげないでください！！」




木兎さん可愛そ…でも男子の中で五本の指に入れるのってすごいことなんよな。


メガネくんが「はぁ？」と言ったような表情でこっちをみとると、黒尾さんが何やら悪そうな顔でメガネ君を見た。



「それに君……ミドルブロッカーなら、“もうちょっとブロックの練習した方が”いいんじゃない？」


メガネくんの肩がぴくりと跳ねる。


あぁ……そういう事か……



「黒尾さんの言う通りやでメガネ君、うちが左でスパイク打っても止めれんやろうなぁ？」



「…」



「先輩二人が一年に寄ってたかって…」とか後ろの赤葦から聞こえたけど気にせんとこ。



私ら二人が煽ったのが表に出たっぽいのか、メガネ君は無言で体育館に足を踏み入れた。

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