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28話 ページ29

ふと、ポケットに忍ばせていたスマホが震える。が、生憎手が滑って川に落としてしまった。あの川は結構深いから探すのは多分無理だろう。




_別にどうでもいいや。



このまま私も川で溺れて死にたい。



5分もあれば死ねる。






短い人生だったな。





そう思うと段々と私の体は川の方へと吸い寄せられて行って、進入禁止と大きく描かれた看板のフェンスをよじ登っていた。あとはフェンスを掴んでいる手を離せば死ねる。



もうこれで終わりだ。



何も考えなくていい。



…最後に誰かになんか言っときたかったな。



そんなちっぽけな後悔が頭によぎる。しかし、私の手はもうフェンスを手放した。私の体は重力に潔く従って、抗うことなく落ちていく___はずだったんだ。




「何やってんだ!!」



「何って…見たら分かりますよね?私これから溺れて死ぬんですよ。だから離してください__出水先輩」




「絶対離すかよ!!そんなことして誰が喜ぶと思ってんだ!!!!」


「もう何もかもどうでもいいんですよ。出水先輩って(他人)に情をかける義理なんてないじゃないですか。潔く私が死ぬのを見届けて下さい。ね?」


「あ、おい!!」


私を掴んでいた手には限界が来てたんだろう。私の手はするりと抜け落ちて今度は止まることなくいちばん深いところに落ちていく。


結構な高さがあったから打ち付けられた背中と完治していない腕と足が痛かった。暫くすれば肺に水が入ってきて息が苦しくなる。もう平衡感覚も疎らになってきた。


もう目の前には特に考えたこともなかった“死”が待っている。生と死は紙一重なんて言葉もあるぐらいなんだからおかしくは無いのだろう。


その時、横に目をやると、先程落としてしまったスマホがあった。手を伸ばそうにも平衡感覚はもうほぼ無い。最後の力を振り絞ったかのように弱々しい光がスマホから溢れ出る。




ディスプレイには【烏丸】の文字。




それが十六年間生きてきての最後に見たものだった。

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じゆんきむ(プロフ) - この作品を昔読ませて頂いていてすごく好きで久しぶりに読みたくなって探したのですが、続編が消えてしまっていました、、もし作者の方が見れるようでしたら続編復活してして欲しいです!! (11月1日 22時) (レス) id: b4c10966c3 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 木戸司令じゃなくて城戸司令ですよ! (2020年12月11日 22時) (レス) id: e84559c347 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とーすと | 作成日時:2020年4月6日 14時

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