「高天原へ」(肆) ページ32
改めてAは立ち上がり、門へと足を踏み入れる。
深く頭を下げた判官に習って、黒童子と白童子もペコリとお辞儀する。
門が固く閉じられるまで、判官と童子、そして門番の鬼使いは、Aへ敬意を表していた。
「高天原……」
神々の住まう雲の上の国。
人間である自分には永遠に無縁のはずだった天上の世界。
その入り口へ一人赴くこととなった精神的不安から、Aは両足を地に縫い付けられたかのように立ち尽くしていた。
「師匠」
自身以外誰も居ない空間であるのを良いことに、Aは声を震わせながら吐露する。
「あの鳥居を抜けたら、私は本当に、神様となってしまうのですか？」
師匠の代理として答えたのか、遠くの鳥居が瓏々と輝きを増した。
Aには「早く御出でなさい」と勧告されているかのように感じた。
青白い幽玄な光に柔らかく照らされて、Aの霊魂に陰陽を司る力とはまた別の何かが宿り始める。
これが神気か、とAは悟り、自分にこの力を背負い切ることが出来るのだろうか、と自問した。
何の気なしに、後ろを振り向いてみる。
あの門は既に跡形も無く消え失せていた。
残された道は、たった一つ。
Aは視線を鳥居に戻そうと前を向く。
直後にAは驚愕する。
その拍子に悲鳴を上げてしまいそうになるのを我慢し、口元を隠しながら一歩下がった。
「荒様……！」
荒が音も無くAの目の前に現れていた。
高天原へ参るということは、その国の使者である荒との再会にも必然的に繋がる。
相手の目を見て話すのは得意なのに、Aは荒の目を見ることが出来なかった。
心の準備が整っていなかったのだ。
荒は自分のことを、半端な約束事を軽々しく神と交わした身の程知らずで口先だけの女と思っているに違いない。
あんな死に別れをしてしまったのだからまともに話すことなど出来る訳が無く、Aは俯いた。
「……過去の私が、お前のことを天女に例えていた」
出し抜けに沈黙を打ち破った荒にAは動揺する。
確かに、神子の少年に「貴女は天女のようなお方です」と囁かれたことは、切ない記憶としてAの心に深く残っている。
少年が海へ帰った後に荒は現れたのだが、その会話を把握しているということは、恐らくほぼ最初の方からAと少年の挙動を見守っていたのだろう。
だが、それが一体どうしたと言うのだろうか。
Aは恐る恐る顔を上げた。
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イズモ(プロフ) - みつきさん» ふわっとした説明ですみませんが、そんな感じです！ (2023年4月6日 12時) (
レス) id: f0acbe1894 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - みつきさん» 容姿の詳細は読者様へお任せしていますが一応自分の中では……前髪ぱっつんのロングヘアで髪色はピンクラベージュっぽい色味の暗髪、瞳は桜のような色をしていて色素が薄めなのでフチが金色の瞳孔(黒)が見やすい……とイメージしています。服装は狩衣です。 (2023年4月6日 12時) (レス) id: f0acbe1894 (このIDを非表示/違反報告)
みつき - 主人公の容姿ですがイズモさんは、髪の色や服装瞳の色、髪型などはどのように考えていますか？主人公についてです！できれば教えてください！ (2023年4月5日 21時) (レス) id: 5d80019c07 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - みつきさん» コメントありがとうございます！ 主人公は式神ではないのでレア度は特に決めていません。晴明神楽博雅八百比丘尼と同じく陰陽師枠のつもりで妄想しました〜。 (2023年4月5日 12時) (レス) id: f0acbe1894 (このIDを非表示/違反報告)
みつき - どのくらいだと思いますか？SRくらいですか？ (2023年4月5日 8時) (レス) id: 5d80019c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イズモ | 作成日時：2018年9月12日 22時
