「賀茂家の陰陽秘術」(参) ページ18
雪童子は振り上げていた刀を降ろして、無表情でAを見つめていた。
「貴方は雪の妖。この火災の中にいては、危険では無いのですか？」
灼熱の空気に触れていても平気そうなのは明々白々なのだが、それでもAは聞かずにはいられなかった。
雪童子は口元を緩め、儚げに微笑む。
「大丈夫。この刀が、僕を守ってくれるから」
そう言ってから雪童子は、その小さな体にはやや不釣り合いにも思える太刀、雪走を、ギュッと抱き締めるように自身へ寄せた。
「僕……玉藻前の仕業で都が生き地獄になっているって、妖怪達が話しているのを聞いて、それで……」
雪童子の瞳に、僅かに殺意を含んだ悲愴で冷たい光が宿る。
その眼が玉藻前とのとある因縁を意味しているとは、Aと妖刀姫は夢にも思わないだろうし、知ることもないだろう。
何故ならそれは、彼の物語であるからだ。
「Aさん、僕に何かお手伝い出来ることってないかな……！？」
真剣な顔つきでAに詰め寄る雪童子だが、代わりに言葉を発したのは妖刀姫だった。
「雪童子。A様は宮廷へ向かわなくちゃいけないの。でも行く先々に邪魔者が多い」
そうこうしている内に、妖達が集まって来た。
刀を扱う者同士で何か通じ合うものがあったに違いない、反射的に妖刀姫と雪童子は背中を預け合う。
「一緒に戦おう」
「うん！」
二人は敵の群れに突撃し、思う存分に刀を振り回す。
斬り刻まれた群れはあっという間に全滅し、消滅した。
「急ごう！ A様！」
妖刀姫が振り返り、少し離れた所で見守っていたAに向かって叫ぶ。
「……頼りにしていますよ。二人共」
Aの言葉に、妖刀姫と雪童子は不敵な笑みを浮かべ、強く深く頷いた。
こうして雪童子が加わったことで、小妖共を斬り伏せ撃退する効率が上がった。
宮廷が見えてきた。
近づくにつれ、どういう訳か周囲に朧車の数が増えてきているようだが、妖刀姫と雪童子の敵ではない。
三人は今にも焼け落ちそうな正門を急いで走り抜け、宮廷の中へ入った。
徘徊する朧車が一斉にA達に目をつける。
迎え撃つ妖刀姫と雪童子。
その隙にAは目的の部屋に通じそうな道を探す。
「Aさん！ 上！ 危ない！」
雪童子が叫んだのと、建物が崩れ落ちるのは、恐ろしいことにほぼ同時であった。
その時、誰かがAの右手首を掴み、一瞬体をふわりと浮かせ、下敷きになり掛けた危機を救う。
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イズモ(プロフ) - みつきさん» ふわっとした説明ですみませんが、そんな感じです！ (2023年4月6日 12時) (
レス) id: f0acbe1894 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - みつきさん» 容姿の詳細は読者様へお任せしていますが一応自分の中では……前髪ぱっつんのロングヘアで髪色はピンクラベージュっぽい色味の暗髪、瞳は桜のような色をしていて色素が薄めなのでフチが金色の瞳孔(黒)が見やすい……とイメージしています。服装は狩衣です。 (2023年4月6日 12時) (レス) id: f0acbe1894 (このIDを非表示/違反報告)
みつき - 主人公の容姿ですがイズモさんは、髪の色や服装瞳の色、髪型などはどのように考えていますか？主人公についてです！できれば教えてください！ (2023年4月5日 21時) (レス) id: 5d80019c07 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - みつきさん» コメントありがとうございます！ 主人公は式神ではないのでレア度は特に決めていません。晴明神楽博雅八百比丘尼と同じく陰陽師枠のつもりで妄想しました〜。 (2023年4月5日 12時) (レス) id: f0acbe1894 (このIDを非表示/違反報告)
みつき - どのくらいだと思いますか？SRくらいですか？ (2023年4月5日 8時) (レス) id: 5d80019c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イズモ | 作成日時：2018年9月12日 22時
