「女子会再び」(柒) ページ7
荒は嫌な予感がした。
その予感通り金魚姫は、荒のAに対する恋情を確信した件を丸々皆の前で話し始めたのだ。
あの時は金魚姫の誤解させるような言い方に問題があったのだが、最後まで話を聞かず早とちりをした荒にも問題がある。
「わぁ……スサビさん、本当にAさんのことが大好きなのですね……!」
荒の見方が変わったらしいかぐや姫が、眩しいくらい瞳を輝かせている。
「でもこれじゃあ優しいというより、重度の心配性って感じよねぇ?」
「過保護すぎる男は嫌われるよー」
姉弟が揃って荒をからかうと、Aもクスクス笑った。
「正直ちょっと厄介な方だなーと思ってしまったことはありますよ」
「ははっ、鬱陶しがられてるじゃん彼氏君〜」
更に調子に乗ってしまった髪喰いに指を差された荒が再び殺気を放つ。
震え上がった髪喰いが「すみませんでした」と低めの声で謝罪をした。
その始終を見ていた皆は大笑い。
「でも、気に掛けて貰えるのは凄く嬉しいですし、心配してくださるのはとてもありがたいと思っています」
Aは再び荒を見つめた。
溶けるように弧を描いた瞳、ふんわりと桜色に色づいた頬、緩んだ可愛らしい口元。
「大好きですよ。荒様」
「……!!」
荒の顔が真っ赤に染め上げられたかと思ったのも束の間、その姿は忽然と消えてしまう。
「あー! スサビ逃げた! まだ女子会始まったばっかりなのに!」
文句を垂れながら金魚姫は手足をじたばたとさせた。
そして。
「全くもー! A! あんたは逃がさないからね!」
照れつつ苦笑しているAに飛び掛かった。
「えっ」
Aの左腕に金魚姫、右腕にかぐや姫が、ガッチリと纏わりついた。
「かぐや姫、貴女まで……」
「ごめんなさいAさん……もっとスサビさんとのお話が聞きたいの……!」
たじろぐAに早速金魚姫は話題を投げた。
「ねぇ深夜に二人で何してたの!?」
「し、深夜……? 何を……言って……」
荒と深夜でと言ったら、あの日の出来事しか心当たりが無いのだが。
「とぼけたって無駄なんだから! さっき煙々羅さんにちゃんと聞いたんだかんね!」
何が何でも洗いざらい吐いてもらうつもりらしい、その瞳は野次馬根性と乙女心に満ち満ちている。
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イズモ(プロフ) - 茶々丸さん» わ〜ご愛読ありがとうございます!!…荒の声優さんに念を送ってもらいましょう!(平安京ラジオ) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
茶々丸 - 一年経っても見させてもらってます!荒来てくれえぇぇ!大歓迎だぞぉぉお! (2019年9月23日 10時) (レス) id: 65a910c7b3 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 横ごりらさん» !!確かに!荒って何か…自分のこと好きじゃなさそうな気がするんですよね…伝記でもどっちかと言うと人間より自分を責めてる感があるように思えますし…どれも個人意見ですが(´-ω-`)こちらこそ、荒のこと語り合えて楽しかったです!ありがとうございました! (2018年9月11日 21時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 「愚か者め!」「愚かな・・」とかもよく言ってますが、「愚か」って、自分自身にも思っててよく使う言葉なのかな・・とも思いました>< いえ!とんでもないです!またイズモさんのお話を聞けてとっても嬉しいです!(^///^)お返事くださり有難うございました! (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 私も想像になってしまいますが、もしも叱ってくれているのだとしたら本当に優しいですよね・・・常に無表情で厳しい言動の裏では、本当は自分以外の存在をいつも気にかけてくれているのかなと思えます(;_;)いっそ本心から見下して関わらなければいいのに・・(;_;) (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イズモ | 作成日時:2018年6月30日 20時