「真似事蛙」(弍) ページ16
「荒様にお見せしたら、どのような反応をしてくださるのか。それが気になりますので」
「普通に怒るのでは……？」
「まあ喧しくて仕方なかったから、連れて行ってくれるのはありがたいゲロ」
「はい。では失礼しますね」
雨女と磁器蛙の了承を得て、Aはどこか嬉しそうにしながら、都へ向かって歩き出した。
「離せー！ 離すゲロー！ 離せー！」
「取って食べやしませんよ」
一瞬素が出てしまう程暴れる荒蛙を、Aは無邪気な笑顔を保ちながら両腕で抑え付ける。
雨女と磁器蛙は、相変わらず不思議人物過ぎるAを見送りつつ、心の片隅で荒蛙の安否を心配した。
「何だそれは気色が悪い」
荒は案の定不愉快そうに、Aが掲げた荒蛙を睨みつける。
それはもうまるで汚物を見るような目だった。
気色が悪いと言われ荒蛙はワナワナと怒りを募らせる。
「こ、この私を誰と心得る！ 私こそがっ天命を授かりし者であるぞっ！」
本物の神を前にしても尚意気がっているが、ガタガタ震えている様が何とも惨め。
荒は溜息をつきながら、見たくなさそうに荒蛙から顔を背けた。
「でもよく見ると可愛い顔をしていますよ」
荒蛙の顔を見る為にくるっと向きを変えさせてから、Aは言った。
「可愛いとは何だこの私に向かって！ いい加減下ろせこの無礼者！」
可愛いと評されるのも気に入らないらしい荒蛙は、プンプンと湯気を立てながら威嚇してくる。
それを見てクスッとAは笑った。
「この子飼ってみたいです」
「早急に捨てて来い」
ばっさりと切り捨てた荒に構わずAは戯言を続ける。
「名前は何にしましょうか。えっと……あっ」
Aは素晴らしい名を思いついたとばかりの笑顔で荒を見た。
「スサ吉」
ぎゅ、と荒がAの左耳を摘んで軽く引っ張った。
「捨てて来いと言っているのが聞こえないのかお前は。この耳は飾りか？」
「痛いですよ荒様」
体が左に傾いていくのを堪えながらAは訴える。
置いてけぼりな荒蛙の怒りは沸騰寸前。
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イズモ(プロフ) - 茶々丸さん» わ〜ご愛読ありがとうございます！！…荒の声優さんに念を送ってもらいましょう！(平安京ラジオ) (2019年9月23日 18時) (
レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
茶々丸 - 一年経っても見させてもらってます！荒来てくれえぇぇ！大歓迎だぞぉぉお！ (2019年9月23日 10時) (レス) id: 65a910c7b3 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 横ごりらさん» ！！確かに！荒って何か…自分のこと好きじゃなさそうな気がするんですよね…伝記でもどっちかと言うと人間より自分を責めてる感があるように思えますし…どれも個人意見ですが(´-ω-`)こちらこそ、荒のこと語り合えて楽しかったです！ありがとうございました！ (2018年9月11日 21時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» ｢愚か者め！｣｢愚かな･･｣とかもよく言ってますが、｢愚か｣って、自分自身にも思っててよく使う言葉なのかな･･とも思いました>< いえ！とんでもないです！またイズモさんのお話を聞けてとっても嬉しいです！(^///^)お返事くださり有難うございました！ (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 私も想像になってしまいますが、もしも叱ってくれているのだとしたら本当に優しいですよね･･･常に無表情で厳しい言動の裏では、本当は自分以外の存在をいつも気にかけてくれているのかなと思えます(；_；)いっそ本心から見下して関わらなければいいのに･･(；_；) (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イズモ | 作成日時：2018年6月30日 20時
