「女子会再び」(弍) ページ2
髪喰いも金魚姫とかぐや姫に混ざってキャーキャー女々しく悶えている。
何食わぬ顔で煙々羅は煙管で煙をくゆらせていたが、ふと思い出したかのように、荒にしか聞こえないくらいの静かな声で言った。
「まあ、何を話していたのかっていうのは、聞かなかったことにしてあげる」
以前に荒の過去を知っているような口ぶりを見せた煙々羅。
世を隅々まで観察し、様々なことを知ってしまっているのだろうが、核心のところは言いふらさない主義であるようだ。
興奮の熱が落ち着いてから、金魚姫は再度荒を問い詰め始めた。
「ねぇ教えなさいよスサビ! Aの好きなところ!」
荒川での時に無視された質問の答えを、何としてでも聞き出したいらしい。
勿論荒は嫌そうな顔をする。
「そんなことを知って何になる」
「え〜? 別にぃ〜? ただの好奇心〜! 皆も知りたいよねっ!?」
うんうん、と荒を除く全員が力一杯頷き期待の眼差しを向けるが荒は屈しなかった。
公開処刑の執行前状態な荒の心情。
それを察してか、かぐや姫が苦笑いを見せる。
「皆の前で、好きな人の好きなところを言うのって、ちょっと恥ずかしいよね……」
それを聞いた金魚姫がポンと手を叩く。
「あ〜、そういうことならあたし達もAの好きなところ言っていこうよ! だからスサビ! あんたもちゃんと言うのよ、分かった!?」
なるべく具体的にね! と付け加えて、金魚姫が扇子で話す順番を指し示す。
金魚姫、かぐや姫、髪喰い、煙々羅、荒の順で一言ずつ挙げていくこととなった。
「強くて頼りになる!」
「女性の方だけどかっこいい……!」
「喰べたくなっちゃうくらい綺麗な髪!」
「聞き上手だし、話すの凄く楽しい子よねぇ」
「…………」
予想通り何も言わない荒に皆の目線が集まる。
何か言いなさいよー! と金魚姫が不満そうに突っ込んでも黙りを決めている。
だが、何も考えていない訳ではなかった。
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イズモ(プロフ) - 茶々丸さん» わ〜ご愛読ありがとうございます!!…荒の声優さんに念を送ってもらいましょう!(平安京ラジオ) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
茶々丸 - 一年経っても見させてもらってます!荒来てくれえぇぇ!大歓迎だぞぉぉお! (2019年9月23日 10時) (レス) id: 65a910c7b3 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 横ごりらさん» !!確かに!荒って何か…自分のこと好きじゃなさそうな気がするんですよね…伝記でもどっちかと言うと人間より自分を責めてる感があるように思えますし…どれも個人意見ですが(´-ω-`)こちらこそ、荒のこと語り合えて楽しかったです!ありがとうございました! (2018年9月11日 21時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 「愚か者め!」「愚かな・・」とかもよく言ってますが、「愚か」って、自分自身にも思っててよく使う言葉なのかな・・とも思いました>< いえ!とんでもないです!またイズモさんのお話を聞けてとっても嬉しいです!(^///^)お返事くださり有難うございました! (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 私も想像になってしまいますが、もしも叱ってくれているのだとしたら本当に優しいですよね・・・常に無表情で厳しい言動の裏では、本当は自分以外の存在をいつも気にかけてくれているのかなと思えます(;_;)いっそ本心から見下して関わらなければいいのに・・(;_;) (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イズモ | 作成日時:2018年6月30日 20時