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「神の心人知らず」(肆) ページ10

「相談したいことがあります。お時間宜しいですか」


「珍しいな。さあ、上がってくれ」


「お邪魔します」


晴明に快く迎え入れられ、Aは茶の間に案内される。


小白、神楽、博雅、八百比丘尼、皆そこに集まって茶菓子を嗜んでいた。


あのAが悩みを相談しに来たと知るや否や、一斉に注目する。


全員が真摯に聞く態勢に入っているが、Aは気が引け始めていた。


晴明だけに打ち明けるつもりで来たのに、この人数の前で話すことになるとは思いもしなかったからである。


だがこういう類の相談は、大勢の意見を聞いた方が良さそうだ。


そんな気もしてきたAは、なんとか割り切ろうと思うことが出来たのであった。



「A、元気ないね……」


心配そうに言う神楽に、Aは振り絞った苦い笑顔を見せる。


「荒様のことで、少し悩んでいまして」


「スサビって……ああ、あの神様のことね。高天原って所から来た……」


荒の姿を思い浮かべながら神楽は頷いた。


晴明達にとっては、春の宴以来である。


「何ですか!? 何か嫌なことをされたんですか!?」


なんて身を乗り出しながら小白が極論を言い出すものだから、Aは慌てながら補足しようとする。


「いえ、そういう訳では……あ……された、ともいうのか……いや……言われた、というか……」


いつも相談事を受ける側だったから、何から言えば良いのか分からないのだろうか。


柄にも無くしどろもどろなAに一同はますます首を捻った。


そこで突如博雅が、Aに顔をずいっと近づける。


「博雅様?」


あまりにも距離が近い為、Aは思わずその場で仰け反りそうになる。


じっくりとAの顔を観察した後、博雅はあくまで素直な疑問を口にした。



「お前、本当にAなのか?」



「……何言ってるの、博雅」



神楽がじっとりとした目つきで博雅を見やる。


「だってよ! こんな歯切れの悪いAなんてAらしくないだろ!」


興奮気味な博雅を「まあまあ」と晴明は呆れを含んだ声音で宥める。


「要領を得ない程悩んでいるということなのだろう? A」


全く仰る通りだ、とAは心の中で呟いた。


博雅の「らしくない」という指摘も、晴明の「要領を得ない」という指摘も。

「神の心人知らず」(伍)→←「神の心人知らず」(参)



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作品ジャンル:恋愛
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イズモ(プロフ) - 蒼羅さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります(о´∀`о)荒様はかっこいい!!笑 (2018年6月20日 8時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羅 - 荒様格好いい!!この小説読んで荒様のイメージが変わった(´V`)♪続き楽しみにしてます!!更新頑張って下さい!! (2018年6月19日 22時) (レス) id: 6ae6ae8c8c (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 美八さん» ありがとうございます!!もう少しだけお待ちください! (2018年6月14日 12時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
美八 - 私は、この続きが気になっているのでお待ちしております! (2018年6月14日 7時) (レス) id: 008655f029 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イズモ | 作成日時:2018年5月13日 21時

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