「神の心人知らず」(参) ページ9
Aの口から気の抜けた変な声が出てしまったのは、荒の言葉を瞬時に理解することが出来なかった為である。
何を言っているのか分からないとポカンとした後、ようやく頭の処理が追いついた。
返事を待っているのか、荒はAを無言で見つめてくる。
Aは滅入りながら目を伏せた。
「困ります」
荒はほんの一瞬だけ目を見開いてから、息を重く吐いた。
「冗談だ」
Aがほっと息をついたのを聞いて、荒の表情に影が落とされる。
「お言葉ですが荒様。冗談でそのようなことを仰ってはいけませんよ。本気で受け取る女性がいましたら……」
神を相手にそこまで果敢に言ってみせたAは口を噤んだ。
常に冷たい荒の瞳が、確かな熱を帯びていたからだ。
射抜くような視線に、薄く開いてしまったAの口が塞がらなくなる。
「お前だけにしか……言わない……」
泣きそうな掠れた声音で囁いてから、荒は立ち上がり、踵を返してどこかへ行ってしまった。
Aは内心酷く動揺していた。
察しの良いAが、あんな目をした荒の心の内を、気がつかないはずもなく……。
「本当に、困ります……」
Aの頬に謎の火照りが生じる。
このままだとまずい。
非常にまずい。
今回の件については、どうにも一人では解決出来そうにない。
……いざという時の頼みの綱に、相談しに行った方が早いだろう。
そう思ったAが向かった先は、晴明の庭院であった。
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イズモ(プロフ) - 蒼羅さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります(о´∀`о)荒様はかっこいい!!笑 (2018年6月20日 8時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羅 - 荒様格好いい!!この小説読んで荒様のイメージが変わった(´V`)♪続き楽しみにしてます!!更新頑張って下さい!! (2018年6月19日 22時) (レス) id: 6ae6ae8c8c (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 美八さん» ありがとうございます!!もう少しだけお待ちください! (2018年6月14日 12時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
美八 - 私は、この続きが気になっているのでお待ちしております! (2018年6月14日 7時) (レス) id: 008655f029 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イズモ | 作成日時:2018年5月13日 21時