「憂いな盆休み」(伍) ページ19
ぐるっと村を一周してから、帰路につく。
昼餉の支度が整っていた。
村の畑から収穫した大根やら菜っ葉やらを鍋で煮込んだ雑炊。
見る人によっては、粗末な食事に見えるかもしれない。
都では美味な食事が色々と食べられるが、それでもAは、最終的に一番美味いのは母の手料理だという結論に行き着くのだ。
和気藹々としながら母の味を堪能した後に、土産の椿餅を食べた。
その後はひたすら談笑し合うだけ。
都での出来事、村での出来事、思いつく限り話し合った。
……安らげる時間は本当にあっという間に過ぎてしまう。
家に差し込む光が橙色に染まりつつあった。
「もう、行かないと」
父と母が悲嘆の表情を見せるが、それを振り切ってAは逃げるように玄関へ向かう。
その後を両親は急いで追った。
「お父さん、お母さん。今日はありがとう。また……来年に……」
「ん……達者でな」
「体に気をつけて、元気でね……」
別れを惜しむ両親に容赦なく背を向けて、Aは歩き出す。
その足は段々と速度を増す。
Aは思った。
この村が好きだ。
父親も母親も村人達も、皆大好きだ。
だからこそ、ここに居てはいけない。
ここに長く居ると、あの頃の自分に戻ってしまう。
決して戻ってはいけない。
一度捨てたものをまた拾ってしまったら意味が無い。
弱い自分とは、もう決別したのだ。
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イズモ(プロフ) - 蒼羅さん» コメントありがとうございます！更新頑張ります(о´∀`о)荒様はかっこいい！！笑 (2018年6月20日 8時) (
レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羅 - 荒様格好いい!!この小説読んで荒様のイメージが変わった(´V`)♪続き楽しみにしてます!!更新頑張って下さい!! (2018年6月19日 22時) (レス) id: 6ae6ae8c8c (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 美八さん» ありがとうございます！！もう少しだけお待ちください！ (2018年6月14日 12時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
美八 - 私は、この続きが気になっているのでお待ちしております！ (2018年6月14日 7時) (レス) id: 008655f029 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イズモ | 作成日時：2018年5月13日 21時
