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「冥界にて会談」(参) ページ1

孟婆とはそこで別れ、判官の導きで、Aは閻魔が待つ裁判所こと閻魔殿に到着した。


厳かな宮殿内へ入場する。


其処で判官に指示されるがまま、Aは閻魔の御前に立たされた。


閻魔はAの頭から足の爪先まで、まじまじと眺めた後、細く息を吐いた。


「災難であったな、A」


「はい。我ながら呆気ない最期でした」



思い返すと本当に情けない話だ、とAは心の内で反省した。


あの悪鬼は凶暴化しており厄介ではあったが、はっきり言って雑魚の部類。


そんな相手に返り討ちの隙を与えてしまったことが、Aの敗因である。



「流石に気がつかぬか」


閻魔は突然、くっくと愉快そうに小さく笑った。



「お前はまだ死んではおらぬぞ」



「……?」



どういうことだとAは目で訴える。


「閻魔様に感謝しろ。このお方の寛大な措置によって、お前は生き永らえることが出来たのだからな」


どこか得意げな判官の態度に、閻魔は仕方なさそうに苦く笑った。


「そう恩着せがましい言い方をするでない判官。Aのような若く優秀な人間を早々に失っては、陽界の秩序が更に乱れるであろう」


だから生かしたまでよ。


閻魔はAの目をしっかりと見つめながら言った。



陰界に堕ち悪鬼に喰われたからなのではなく、喰われる前に閻魔の力により一時的な避難をさせられたから、冥界にいる。


つまりはそういうことなのだろう。


Aに置かれている今の状況、差し詰め臨死体験と言ったところか。


「閻魔様……厚く御礼を申し上げます」


お辞儀の動作が端麗なAに、閻魔は好印象を受ける。


気持ちが良さそうな微笑を浮かべながら、手をひらひらとさせた。


「判官、下がっていてくれぬか? Aと二人で話がしたい」


「はっ」


閻魔に敬礼し判官は闇の中へ溶け込んで行った。

「冥界にて会談」(肆)→



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設定タグ:陰陽師 , 陰陽師(ゲーム) ,   
作品ジャンル:恋愛
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イズモ(プロフ) - 蒼羅さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります(о´∀`о)荒様はかっこいい!!笑 (2018年6月20日 8時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羅 - 荒様格好いい!!この小説読んで荒様のイメージが変わった(´V`)♪続き楽しみにしてます!!更新頑張って下さい!! (2018年6月19日 22時) (レス) id: 6ae6ae8c8c (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 美八さん» ありがとうございます!!もう少しだけお待ちください! (2018年6月14日 12時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
美八 - 私は、この続きが気になっているのでお待ちしております! (2018年6月14日 7時) (レス) id: 008655f029 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イズモ | 作成日時:2018年5月13日 21時

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