ああ、君だった【JK】 (ページ9)

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完全にやってしまった、そんな気がする。

数時間前、自家用車で私を迎えに来たジョングギは(全身真っ黒だった)、予約していたという隠れ家的なお店に連れてきてくれた。落ち着いたライトアップと、ゆるやかなBPMでさりげなく流れるチェロの音色が、お洒落だけど気負いすぎない大人なお店だ。

個室に通されてしばし思案する。

ねえこれ、なんだかデートみたいじゃない……？と。

今日ここに連れて来られるまでどこに行くか知らされていなかったから、てっきりもっとカジュアルな、気の置けない仲間と来るようなお店だと思っていた。それが、まるで恋人達が喧騒から離れて、二人の時間を過ごすようなそんな場所で。

気もそぞろに目の前に座るジョングギを盗み見ると、タイミングよく目が合ってしまった。誤魔化すように「すごく良いお店だね」なんて言って視線を外すと「初めて女の人を連れてきました」とか笑んだ声で言うから、もっと心が落ち着かなくなって。

結果、こうなってしまった。

「ごめん、ジョングク……少し飲み過ぎちゃった……」

「俺もここに来たらつい飲み過ぎるし食べ過ぎるんです。ヌナの口に合ってよかった」

そう優しく笑うジョングギに心の中で手をついて謝る。ジョングギは運転するから飲んでいないのに「ここはお酒も美味しいですよ」と言われて、一人頭がふわふわする程には飲んでしまった。酔うと現れる、すぐにヘラヘラと笑ってしまう癖はコントロールしようにも難しい。

勝手に緊張して、飲み過ぎてしまうなんて。