想いの終着点II (ページ15)

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労働後ページ15

『ふぅ…これで、完成……』

手で汗を拭う。

完成した看板は、カラフルな絵の具で彩られ、人の目を引くだろう。

不破「……」

不破「…あはは」

不破「完成、した…」

『(皆疲れ切ってる…)』

そりゃそうだろう。

こんな暑さと天気の中、無心で筆を滑らせて数十分。

授業に遅れる、と全速力で教室に駆け込み、お弁当を高速で食べ終わってまた作業。

昼休みのチャイムが鳴ったと思えばあっという間に時が過ぎ、放課後もぶっ通しで作業。

疲れるな、というのは無理な話だ。

既に嫌になる程存在を主張していた太陽は、赤く染まり始めている。

『(何時もならこの時間は、部室に居るんだけどな…)』

今日はあの空を見損ねた。

少しだけ溜息をついて顔を上げる。

段々と、確実に変わりゆく空模様が好きで、ほぼ欠かさず部室から見ていた空。

思えば、別の場所からまじまじと見ることなんてあまり無かったかもしれない。

…ここからはどう見えるのだろう。

顔を上げると、丁度太陽にかかっていた雲が風に流れていく。

『………わ』

『綺麗………』

不破「へへ、別のとこから見ても綺麗でしょ？」

不破「労働の後のご飯って美味しいし！そんな感じじゃない？」

『…何ですか、それ』

私も疲れが溜まっていたのだろう。

身体から力が抜け、自然と笑顔になる。

「ってかAさんが来てから結構楽になったよね」

「知らないの？Aさんって美術部だよ？」

「うそ、マジ！？」

「俺知らなかったわそれ…」

「てっきりさっさと帰ってるんだと……」

不破「…Aちゃんの意外な一面なのでした〜♪」

不破「ま、最初にそれを発見したのは俺ですけどね！！」

「うっざ」

「ふわっちめちゃくちゃドヤ顔するじゃん」

あたりが笑いに包まれる。

柔らかなオレンジ色の光が降り注ぎ、それが何だかスポットライトの様に見えた。

不破「よっし！完成したことだし、これ備品の保管場所に置いてさっさと帰ろ〜」

不破「皆疲れたっしょ？」

「また肉体労働かよ…」

「う”ーーー…疲れたぁ…」

不破「ほい解散、またね」

労働を終え、彼の声がかかる。

それを合図に皆散り散りになって帰っていった。

不破「じゃ、俺も帰ろかな」

不破「Aちゃんありがとね、手伝ってくれて」

『いえ。…楽しかったです』

『(…楽しかった)』

『(でもどうして)』

『(あんなに空が、綺麗に見えたんだろう)』