一撃の重み。 ページ4
「のやろぉ!!ぶっ殺す!!」
殴られた沢田さんを見て、獄寺さんはタガが外れたようにヒバリに突っ込んでいった。
しかし、それも虚しくするりと避けられてしまう。
「2匹」
その後トンファーで殴られ、彼は手に持っていた爆弾をどうすることも出来ず倒れ込んでしまった。
「てめぇ……!!!」
様子を見ていた武がヒバリを睨むと、ヒバリはトンファーを構え、続々と攻撃を繰り出し始める。
武は攻撃を避けてはいたものの、完全に守りの姿勢で攻めに転じることを許されない。
このままでは勝てないと確信し、私も応戦しようと鞘に入れたままの刀を構える。
が。
「ケガでもしたのかい？右手をかばってるな」
その一言で武は動揺の色を浮かべ、私も心臓が大きく跳ねた。洞察力まであるのかと、恐怖すら覚えたから。
「当たり」
動揺により武に一瞬の隙が生まれ、彼は鋭い蹴りを入れられて窓の方まで飛ばされてしまった。
「3匹」
あとは私一人だけ。そう実感すると、呼吸のひとつひとつが浅くなっていく。息が、しにくくなっていく。
ヒバリが私の方をゆっくり振り返る。すると彼の表情がよく見えた。
(余裕たっぷりって笑み、してるな……)
当たり前ではあるが、彼の私を何とも思っていなさそうな表情に余計体が強ばる。
緊張で満足に動けないかもしれない、でもここで踏ん張らなければ四人とも病院送りにされるだけだ。
自身に喝を入れる。
そして、震える声でヒバリに向かって叫んだ。
「なんでそんな余裕な顔してるんですか……っ!!」
私の声を聞いても、ヒバリは眉ひとつ動かさない。
その顔を見て、また怖くなる。でも、それ以上に悔しかった。
「……まだ私がいますから」
ヒバリがトンファーを再び構えると同時に、私も刀を抜く構えをとる。
トンファーがこちらに向かって振り下ろされると同時に、鞘から抜いた刀で防いだ。
しかし、一撃が重く防ぎきれず体のバランスが崩れ、攻撃への対処が遅れる。
その為肩への攻撃をもろに食らい、次に繰り出された腹部への蹴りもまともにガードすることが出来なかった。
「がっ……」
呼吸困難に陥り、私は床に伏せ立ち上がれなくなった。もう戦闘は不可能であると、自身でも理解する。
ヒバリはとどめの一撃をさすのかと思いきや、私の方を一瞥して、床に転がる獄寺さんの元へ向かった。
(どうしようどうしようどうしよう……)
獄寺さんを庇おうと思っても体が動かない。今の私にはこの状況に甘んじることしか出来なかった。
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作者名：春夏秋冬 | 作成日時：2020年3月15日 16時
