最後のシガーキス

20　ー生存ifー ページ21

・ー生存ifー




陣平「…悪ぃ。」

瞼の暗闇の中に、陣平の声が響く。

陣平「……切っちまった。」

『…え？』

爆弾の液晶パネルは、残り1秒を指していた。

『…なんで…？』

陣平「コレを解体したところで、萩原の仇を取る事にはなんねぇだろ。仇を取るっつーのは、コレ仕掛けた爆弾犯を逮捕(パク)ることだ。」

確かにそうかもしれないけど。

陣平「それに…」

陣平は顔を逸らして言った。

陣平「死ぬ気満々だったけどよ。」

『……うん。』




陣平「…お前ともう少し生きてみたくなった。」

少し間を開けて陣平は言った。

じわ、と涙が浮かぶ。

『…ふ、なにそれ…ｯ』

陣平「……俺達、両思いってことでいいんだよな？」

『…うん。』

陣平「自惚れるぞ。」

『さっき好きって言ったじゃん。こちとら13年前から好きだったって。』

笑って陣平を見ると、顔を近付けて唇を重ねられる。

陣平「…あとからやっぱ冗談だったとか聞かねぇぞ。」

『逆に聞くけど陣平は、そんな最低なことをする人を好きになったんですか。私そんな事するような人だと思われてたんですか。』

好きって言ってくれるかどうかは別として、陣平の目に私がそんな最低な奴に映ってたら泣く。

陣平「んなわけねぇだろ。俺が好きになったのは、優しくて可愛くて馬鹿で誤魔化すのが下手な女だよ。」

『どうしよう、どれにも当てはまらないんだけど。』

陣平「おい。」

さっきまで危険にさらされてたのに、今は嘘みたいに笑えてる。

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