最後のシガーキス

19 ページ19

・





陣平「あーぁ、終わったな。」

『だねぇ。』

私達は、死んだ。

黒煙が巻き起こるゴンドラを見下ろしながら、パトカーがどこかへ行くのを見届ける。

『…ねぇ、結局どこだったの？』

陣平「米花中央病院。」

『そっか。』

これで、沢山の人の命が救われるよね。

『…さっきさ、爆発3秒前くらいのとき、ゴンドラの外に萩原を見た気がしたんだよね。』

陣平「マジで？」

『気の所為かもしれないけど。泣きながら、なんか叫んでた。』

何を伝えたかったんだろう。

陣平「うおっ」

『うわっ！！』

勢いよく後ろから抱き締められる。

研二「ｯごめん、ごめんっ！俺がｯ仇を取ってくれなんて言ったからｯ！！」

萩原の声。

振り返れば、泣きじゃくった萩原。

陣平「んだよそれ。」

『萩原が仇を取ってくれなんて言わなくても、私達は同じ事してたよ。』

研二「ｯ俺、2人には幸せになって欲しかったｯ！！結婚して子供産んでｯ…じーさんばーさんになってｯ…幸せだったってｯ久しぶりだなって笑いたかったｯ！！」

じわ、と私の視界が歪む。

陣平「…巫山戯んなよ。こちとら十分幸せだったっつの。」

『ｯ早死しやがって！』

思いっきり萩原に抱きつく。

陣平「男が簡単に泣いてんなよ。」

研二「陣平ちゃんも泣いてるでしょ。」

陣平「泣いてねぇよ。」

『嘘だ！涙目だし！！』

陣平「俺は泣いてねぇ。」

研二「こっち向けよ、陣平ちゃん。」

陣平「ちょ、やめろっ！！俺は泣いてねぇ！！！」






死んじゃったけど。

死んだ者は死んだ者らしく、残りの同期達を見守ろうよ。

特に降谷。

アイツは…ちょっと無茶する所があるからさ。









fin

あとがき→←18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す