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陣平「…こういう時くらい、名前で呼べよ。」
『!……分かった、陣平。』
なんでだろう。
さっきまで怖かったのに、陣平が傍に居るってだけで安心する。
凄いな、陣平は。
陣平は煙草に火をつける。
『ちょっと。ここ禁煙。』
禁煙の紙を指せば、ちらりと視線を動かした陣平は笑った。
陣平「今日くらい許せよ。」
『…じゃ、私も吸っちゃお。』
煙草を咥えると、陣平は隣に座って煙草の先端をあわせる。
……これ、最後のシガーキスになるのかな。
『…ッえ』
私の唇から煙草を取り上げた陣平は、自身の唇を重ねた。
『…じんぺ……なんで』
陣平「最後なんだ、これくらい良いだろ。」
『…陣平って、私の事好きなの?』
陣平「…………そうだよ。」
『…じゃ、この間言ってた、10年前から好きな人って…』
陣平「お前以外に居るかよ、10年以上も一緒に居る奴。」
じわ、と視界が歪む。
『ッあれ、可笑しいな、なんでだろ。』
陣平「だから擦るなっての。」
優しく目元を拭われる。
『ッいいの?そんな事言われたら私、自惚れるよ…?』
陣平「おーおー、自惚れろ。」
『ッ言っとくけど、私は13年前から好きだった。』
陣平「んな3年も変わんねぇっての。」
『変わるよ!?』
何も言い返さない陣平のせいで、ゴンドラの中は静寂に包まれる。
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星海月(プロフ) - ぷりんさん» ありがとうございます!私の作品で幸せを感じて頂けたんですね!それを聞いて私も幸せになりました!生存ifが納得いく物になるように頑張りますね! (2023年3月24日 8時) (レス) id: 479756ea9f (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - はじめまして!とても良かったので思わず初コメ失礼します!最後のシガーキス、切ないながらちゃんと幸せも感じられるような、なんだか不思議な幸せを味わえました…。(語彙力)松田推しなので、生存ifも楽しみにしてます!(泣 (2023年3月21日 10時) (レス) @page20 id: cc0d0ef556 (このIDを非表示/違反報告)
星空海月(プロフ) - まみこさん» ありがとうございます!優しいお姉ちゃんの彼氏も読んでくださったんですね!番外編ですね、頑張ってみます。(返信遅れてすみません…) (2023年2月20日 20時) (レス) @page4 id: 479756ea9f (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 応援してますぅううううう!!あと優しいお姉ちゃんの彼氏も是非番外編作って欲しいですっうう!!(なんかウザくてすみません) (2022年12月14日 17時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星空海月 | 作成日時:2022年12月14日 17時