最後のシガーキス

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愛美「橋本先輩。」

昼休みから戻ると、愛川さんに呼び止められる。

『……なに？私、暇じゃないんだけど。』

今日中に提出しなきゃいけない書類があるんだけど。

愛美「さっきの、なんですか。」

『？さっきの？』

愛美「ポアロでの事ですよ！」

『……え？ごめん、なんの事？』

愛美「とぼけないで下さい！」

いや待って、マジでなんのこと言ってるのか分かんないんだけど。

愛美「手を繋いでいたでしょう！？」

『え？あぁ、あれ……。』

愛美「あと距離が近いです！！」

いや、いつもの事なんだけど…。

愛美「自分に自信を持てないからって色仕掛けですか！？」

『いや、そんなつもりはないんだけど…。』

そもそも手を握ってきたの松田だし。

ていうか松田は色仕掛けになんか動じないんだけど。

愛美「私への見せつけですか！？」

『いや、あの、話を聞いてくれない？』

愛美「言い訳なんか聞きたくありません！！やってる事が汚いですよ！！」

『そんなこと言われても…。』

愛美「橋本先輩がそんな人だったなんて知りませんでした！！」

『ちょ、ちょっと待ってよ…』

声が大きいし、周りに見られてるし、何より冤罪だ。

愛川さんを宥めようと近付く。

愛美「触らないでくださいっ！！」

ドンッと突き放されてしまう。

不意打ちの強い衝撃に耐えられず、私の身体は後ろに傾いた。

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