最後のシガーキス

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中学1年の頃に自覚した恋は、約13年経った今でも伝えられず、未だ私の心に隠したまま。

我ながら一途なものだ。

恋心を伝えていないと言うことは、勿論恋人同士でもないわけで。

余程のことが無い限り、顔を近付けたりしない。

そりゃ約25年も居れば距離感はバグるけれど、それは間違いなく幼馴染の距離感。

普段から手を繋いだり、絡めたりしている。

けれどシガーキスを除いて物理的距離が1番近くなった時は、もう1人の幼馴染、萩原研二が死んで、2人で仇を取ろうと決心して涙を流した夜、酒の勢いで身体を重ねた時のみ。

次の日は流石に気まづかったが、仕事が忙しくてそれどころじゃなかった。

身体の関係が続く訳でもなく、身体を重ねたのはその1夜限りで、すぐに幼馴染と言う関係に戻った。

萩原がまだ生きている時、松田とシガーキスをしていた。

それが色っぽくて、羨ましくて。

私も煙草を吸い始めた。

苦いやつは余り好きじゃなかったから、ベリー系の女性向けの煙草。

私が勇気を振り絞ってダメ元で松田に声をかけた時、少し躊躇った松田は、私にシガーキスをした。

別に私は、ライターでも良かったのに。

それからと言うもの、私はライターを持ち歩かなくなった。

だって、松田がくれるから。

だって、シガーキスをしてもらえるから。

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