事故に遭ってました。20 ページ21
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あたしは中1の頃。
初めて嫉妬を覚えた。
「 幸希はいつも一番ですごいわね〜 」
周りからの賞賛の声。
あたしは別にそれが嫌いじゃなかった。
小学校1年の時から始めた陸上。
元から走ることが好きだったあたしは、ぐんぐんと成長していった。
運動会のかけっこではいつも一番。
地区の大会などでも優勝。
親も友達も皆が皆、あたしのことを褒めてくれた。
「 ウチの子は本当に素晴らしい才能を持ったよ 」
「 幸希ちゃんは足が速いね! 」
嫌じゃなかった、嫌じゃなかったけど…
大して嬉しくはなかった。
「 何だろう…何かが足りない 」
アイツらはあたしの才能しか見ていない。
あたしのことではなく、あたしの才能を褒めている、必要としている。
いつからか、こんな考えを持つようになった。
…そんな気持ちを抱きながら、迎えた中学校生活。
あたしは迷わず陸上部に入部した。
というよりは親が迷わずあたしを陸上部に入部させた。
…しかし、あたしが入部したと同時に天才が現れた。
ソイツは同じ中1にも関わらず、あたしより2秒も速く走る。
体育祭の時は隣同士で走ったが、ソイツが1位であたしは2位。
地区の大会はソイツが参加権を貰い、あたしは出場することさえ叶わなかった。
もちろん、そのせいで親も友達も全員、離れていった。
そして離れていったヤツらは皆、ソイツの元へ行くようになった。
「 ××ちゃんはすごいわねぇ、地区の大会で優勝ですって 」
「 ウチにもそんなやつが居た気がするんだが…もう駄目だな 」
「 ××ちゃんはかっこいいよね!誰かさんと違って! 」
うるさい、うるさい、もう何も喋るな。
……あたしはそこで初めて“嫉妬”という感覚を覚えた。
なんでアイツだけ?そんな気持ちがこみ上げてきた。
あたしはもちろん、陸上部を退部した。
入学したばかりの時はあたしを入部させることに必死だった親も、何も言わなかった。
「 なんか、つまんねー… 」
そう呟きながら、廊下を歩く。
…と、角を曲がろとしたその時。
「 痛っ… 」
誰かとぶつかった。
「 うわああああ…!!ごめんなさいいいっっ… 」
必死に頭を下げる、見たことない女。
───そいつが後に、あたしの心の支えになるヤツだと知るのはまだ先のお話。
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朱桜馨(プロフ) - 頑張れ主人公ちゃん…!!赤葦…!!更新、楽しみに待ってます…!! (2020年11月18日 20時) (レス) id: e0ab5d8073 (このIDを非表示/違反報告)
もた(プロフ) - 葉月蛍夏さん» 閲覧&コメントありがとうございます…♪そう言っていただけると、とても励みになります(*`・ω・´)期待にお応えできるよう、これからも更新頑張りますね…!! (2017年11月5日 15時) (レス) id: c17bc93c23 (このIDを非表示/違反報告)
葉月蛍夏 - コメント失礼します!作品読ませていただきました。毎日楽しんで読ませていただいてます!これからも無理せず頑張ってください!応援しています。 (2017年10月31日 19時) (レス) id: 83664c9b54 (このIDを非表示/違反報告)
もた(プロフ) - せんべいさん» 閲覧&コメントありがとうございます♪ご期待に添えられるようなお話になるよう、頑張りますね…! (2017年9月19日 3時) (レス) id: c17bc93c23 (このIDを非表示/違反報告)
もた(プロフ) - ウピルさん» 閲覧&コメントありがとうございます!ゆっちゃんの恋編…良いですね…!新作としてか、またはこの小説でちらっと出てくるのか…まだ分かりませんが検討してみますね♪ (2017年9月19日 3時) (レス) id: c17bc93c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もた | 作成日時:2017年9月6日 0時