全力で、逃げろ！【ヒロアカ】 (ページ25)

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逃げろ！25 ページ25

轟「泣くほど嫌だったんだな…すまねぇ、気付いてやれなくて」

違う…

轟「ちゃんと事前に話しておくべきだったかもしれないな」

そうじゃなくて…

轟「本当、ごめんな」

「ち、が…」

轟「？」

「違うんだってばぁぁぁ…！！」

轟「！？」

今まで我慢していた涙が一気に溢れてしまった。もう轟君の肩あたりがかなり濡れてきているが、そんなの気にしずに声を出して泣いた。

「なんで気付かないの！馬鹿なの！？」

轟「？」

「あんなに必死にアピールしてさぁ！
でも全っ然気付かなかったよねこの鈍感！」

轟「あ、あぁ…悪い？」

いや絶対何に対して怒ってるのか分かってないよね！？

そこから泣きながらのマシンガントークだ。今まで思っていた事を全て吐いたが、轟君は「…悪い」と何が悪いのか分かっていない顔して謝っていた。
近所迷惑とかもう知らない。今はとりあえずこの怒りを轟君に思い知らせるのが優先だ。

「私はさぁ！さっき轟君にプロポーズされたんだよ！？嘘だったけど！」

轟「すまねぇ、気持ち悪かったよな」

「……凄く嬉しかったのに」

轟「…は」

「今だって、抱きしめられてるから…心臓飛び出そうなくらい心拍数上がってるし」

すると轟君は普段見られないほど動揺していた。私の気持ちをやっと分かってくれたのか、なんとなく察したのだろう。

今がチャンスかもしれない。
もう答えは分かりきっているけど、今ここで私の気持ち伝えておかないと絶対後で後悔する。
明日は目がパンパンに腫れてるだろうな、なんて思いながら、一呼吸する。

少し落ち着いたところで、轟君と目を合わせた。

轟君も私も、お互い目を逸らさずにまっすぐ見つめる。

そして

·

·

·

「好きだよ、轟焦凍君。
友達としてじゃなくて…1人の男の子として」

涙を流しながらそうはっきり伝えた。
轟君の瞳が揺らぐ。あぁ、終わっちゃったな私の何度目かの恋。

左手にあった氷の指輪が、涙のせいだろう、少し溶けていた。それが無性に虚しくって、何故かまた目尻が熱くなった。