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Story37 ページ37

就職してもう6年ほどになる。




いわゆる中堅になってきて、
仕事のさぼり方も覚えてそれなりに充実した毎日を送ってた。


もちろんあの日から
隆弘とは一切連絡を取っていないし
隆弘が出ているテレビも見なくなった。



千晃とも連絡もほとんど取らなくなってて
もう何年も会ってない。



そしてあの時から一度も恋人を作っていない。




一番こうはなりたくなかったのに、
どうしても好きになりきれずここまで来てしまった。



「あー、だっせー私。」



誰もいない屋上でそう呟いたはずだったのに



"なーにがー"



「げ、聞いてたの仁。」


にやにやしながら私を見ているこいつは
入職した時からの同僚の仁。


1年目の時の歓迎会でカラオケに行ったとき
私の歌声を聴いて声をかけてきた。



"ねえ、一緒に歌やらない?"



最初は断った。
そんなことしてる場合じゃなかったから。


でもしつこく誘ってきて
仕事に余裕が出来てきた頃、


ちょっとくらい付き合ってやってもいいかな
って軽い気持ちで一緒に歌うようになった。



歌ってるって言っても
ほんとにたまにこいつの知り合いの店で歌わせてもらってるくらいだけど。



仁「なんか悩み事?」


「いや、別に。何を悩むことがあるよ」


仁「まあそうだよな、恋愛にも無縁だし仕事も順調だしな!」



ケラケラと笑う横顔が
なぜか少しだけ君に似ていて
なんとも言えない気持ちになった。



出会って今まででこいつとも色々あった。



歌が好きで、
よく人の事を見ていて
あほなことばっかり言うけど優しくて。


初めて会ったとき、
君に似ていると思ってしまった。



同じ部署で働いていたし、
一緒にいる時間も長くて、
好きだのなんだのって言われた時もあった。


でも私はただ君を重ねてしまっているだけで
それ以外のなんでもなかった。



今となっては仁は私の人生のすべてを
もちろん君を好きだったことも全部知っていて


何でも話せるよき親友ってとこだ。



「うるさいわ。恋愛なんてしなくても生きていける」


仁「そうそう、そうじゃなくっちゃAは。笑っとけばいいことあるって。」


なんの根拠があって言ってるんだ。
なんて思ったけど。



「ありがと、ちょっと昔の事思いだしちゃっただけだから。」


仁「よーし、じゃあ今日は飲みにいこっか!」




今日も私は誰かに助けられて生きてる。


君も笑って歌っているのかな。

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作品ジャンル:恋愛
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うらら - かっこいい。かっこよすぎて、しぬ。www (2016年6月16日 5時) (レス) id: 2aaa6ea1ad (このIDを非表示/違反報告)
mosso(プロフ) - ありがとうございます。ぼちぼちになってしまいますががんばります。 (2016年6月5日 23時) (レス) id: bf0732ce1b (このIDを非表示/違反報告)
ナギサ(プロフ) - にっしーが、大好きで読んでてすごく楽しく続きが、楽しみです。頑張って下さい((o(^∇^)o)) (2016年6月5日 23時) (レス) id: 9d55638541 (このIDを非表示/違反報告)
いちえ(プロフ) - 更新、楽しみにしてます! (2016年6月5日 20時) (レス) id: 2dd112bd43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mosso | 作成日時:2016年5月27日 10時

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