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頭上から先輩の声が聞こえてきて、一気に夢から覚めた。
目を瞑ったまま、そうか昨日は重岡くんを泊めたんやった…と瞬時に状況を理解していく。
となると、俺はここで寝落ちしてしまったわけで。
起きひんと…と思ったところで、頭にぽんと乗せられた何か。
優しくふわりと撫でられて、すぐに重岡くんの手だとわかった。
本来ならありえないこの状況が堪らなく嬉しくて、重岡くんの声で目が覚めるなんて贅沢すぎるな…と我ながらちょっと引くレベルで浸っていると、何故か撫で方に勢いがついてきて。
そろそろ起きひんと、俺が変になる。
そう思って目を開けた時の、先輩の「あっ、やべ」って顔。めちゃくちゃ面白かったけど、本人には内緒。
『どー？治った…？』
「んん、まだちょっと痛いねん」
『そっか……ってか、さむ』
タイマーを押すつもりがそのままにしてしまっていたクーラー。初夏の割には冷やしすぎてしまった気がする。
『寒ない？』
「俺は平気。これあるし…」
そう言ってぽすぽすと布団を叩いて、起こしていた身体を横にして再びモゾモゾと掛け布団にくるまった重岡くん。
マスク越しでも、ニコニコと微笑む瞳がなんだか、寝起きの俺には結構ズシッと響いて。
『じゃ、入れてください』
「っえ…ちょ、」
がばっと布団を剥いで重岡くんを端っこに無理やり転がして、俺もベッドに潜り込んでいく。
…大丈夫。理性はある方やし、そもそも男と密着するなんて日常茶飯事で起こりうることやから、こんなんで襲ってしまうとか、そこまでのアホではない。
というか、変な寝方をしたせいで身体もバキバキやったし。
どちらかというとこの時はほんまに寒くて、頭も半分寝かけてて、ただ温まりたいって気持ちしかなかったから
つい、不意打ちにやられた。
「もっとこっち寄れば…？」
くっと服を引っ張られて、「落ちそうやんか」と一言。多分この人は何にも気にしてない。
その証拠に、こんなに顔の距離が近いのに、相変わらずその目元は楽しそうにニコニコしているだけで。
「なんや、男2人で気持ち悪いな(笑)」
『えー、あっためてください』
「うわっ、やめろ生々しい！」
マスク越しの笑顔。マスク越しの声。
…多分、このマスクがなかったら、俺は平常心では居られへんかったと思う。
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ナ(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、初めまして。とても嬉しいコメントをありがとうございます！少しずつ更新していきますので、最後まで見守って頂けたら有難いです。 (2021年7月11日 23時) (
レス) id: db537413ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - はじめまして！すごく面白いです。2人の柔らかい空気が伝わってきて読んでてほっこりします。続きも楽しみにしています♪ (2021年7月11日 1時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナ | 作成日時：2021年7月1日 16時
