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ズキッとした痛みで目が覚める。
顔を顰めながら片目から開いていくと、カーテンの隙間から若干差し込む朝日が線を作っていて、朝まで眠っていたことに気がついて。
顔の横には、寝返りのせいで額から落ちてしまった濡れタオルがあった。
『なんか…落ち着くねんなぁ』
いつもとは違う、人の家のベッド。
寝付けなくたっておかしくないのに、優しい香りに包まれたおかげで正直自分のベッドよりも寝心地が良かった。
やっぱり頭痛治ってへんかぁ…と身体を起こすと、案の定まだ怠さが残っている。
寝惚け眼のまま起き上がって、ぐーっと伸びをしてから手を下ろすと、ぱちんと音が鳴って思わず「ヒッ、」と声が出た。
『え、藤井?』
俺が被っていた掛け布団に顔を埋めて、寝息を立てている藤井。
下ろした手が藤井の手にぶつかってしまったようで。
『まじかぁ…』
ベッド借りといて家主には変な体制で寝かすって、最低やな俺…
なんて思いながら片手で髪をぐしゃっと崩して、少しずつ覚醒してきた頭はゆっくりと昨夜の記憶を蘇らせていく。
嫌でも脳裏にこびりついて離れない、あの光景。
すぐに部屋を出て、どうしようもなくなって藤井に電話して、それから…
『…ありがとうなぁ、昨日』
昨晩は随分と甘えてしまった。
やけに病人の扱いに慣れている藤井にはちょっとビックリしたけど。
目瞑っててもイケメンやなぁ、と憎らしく思いながら、そっとその頭に手を乗せていく。
きっと、俺がわがままを言ってしまったから、出るタイミングを失ってここで寝落ちてしまったんやと思う。
さらりと、髪を撫でて
『眠ってしまったら良しって言えへんって言うたやんか…』
眠ったら放っておいてくれて良かったのに。
どこまでも真面目で可愛い後輩に、思わず笑みが零れる。
だからそのまま、普段はできひんからな…と調子に乗って頭を撫でていけば、瞼がゆっくりと持ち上がって。
「……はよっす、」
『あ…ごめん、起こした?』
慌てて手を引いたものの、その後すぐにまたぎゅっと手首を握られた。
『え…何?』
「言うてくれんと、起きられへん」
『……良し、って?』
「ん、、そう」
そして自分で俺の手を頭にもう一度乗せて、「はやく」と急かしてくる。
寝起きはふわっとしてしまうタイプなんやな、と思ったら、この眠たそうな後輩が余計に可愛らしく見えてきてしまった。
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ナ(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、初めまして。とても嬉しいコメントをありがとうございます!少しずつ更新していきますので、最後まで見守って頂けたら有難いです。 (2021年7月11日 23時) (レス) id: db537413ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - はじめまして!すごく面白いです。2人の柔らかい空気が伝わってきて読んでてほっこりします。続きも楽しみにしています♪ (2021年7月11日 1時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナ | 作成日時:2021年7月1日 16時