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『桐山さん。おつかれっす』

「おつ…って、なんや、その死にそうな顔」

『死にそうですか?ははっ、すんません』

「その乾いた笑いもなんか怖いわ…体調悪いん?」





藤井の言葉に甘えてひと眠りさせて貰おうとテーブルに伏せて、すぅっと眠りに入ってすぐのタイミングで上司から電話でお呼び出しをくらって。



がばっと飛び起きて向かったせいで、結局ほとんど眠ることが出来なかった。



手伝いをしていたら休憩が終わってしまい、若干ふらついた足取りでデスクへ戻ってきて、今に至る。





「なあ重岡、この前言ったことやけど…」





ぼそっと小声で耳打ちしてくる桐山さん。





"今まで色んな奴の話を聞いてきた経験上やけど、自分が浮気しとったら相手の動向も気になってしまうもんやねん。"


"やから、もしかしたら彼女も…"





この前桐山さんに言われた言葉。




「その、気にしてたらごめんな。無責任やったかも」

『いや、いやいや、全然っす!』






確かに、気にしてないと言えば嘘になる。
事実それが原因で寝不足が続いて頭を悩ませているわけで。





でも、桐山さんが悪い訳では無い。
全ては彼女の真実を知るのが怖くて逃げ回っている俺のせい。






「あの…さ、俺が言っといてなんやけど、不安が募るようやったら、彼女と直接話し合った方がええと思う」

『そうっすね…俺もそう思います』






スマホのカレンダーアプリを開いて、今日の所に夕飯担当の文字がないことを確認して、今日彼女は早く帰ってくる日やな…と、スマホをぎゅっと握りしめた。






『今夜、ちゃんと話してみます』

「おう、それがええと思うわ」






頑張れよ、とぱしっと肩を叩かれた。




眉間をぐっと指で押して、なんとか眠気を堪えてデスクに向き直っていく。



彼女へ言う言葉を考えながら、カタカタとキーボードを打ち込んで、なんとか定時で仕事を終えた。







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(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、初めまして。とても嬉しいコメントをありがとうございます!少しずつ更新していきますので、最後まで見守って頂けたら有難いです。 (2021年7月11日 23時) (レス) id: db537413ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - はじめまして!すごく面白いです。2人の柔らかい空気が伝わってきて読んでてほっこりします。続きも楽しみにしています♪ (2021年7月11日 1時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年7月1日 16時

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