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『はい、これ』
「え、なに?」
『ラムネ。好きやんな?』
「えー、好きやけど…ええの?」
『はい。あと運転そろそろ代わります』
わざと運転席の方からドアを開けて、先輩のシートベルトを外してどいてどいて〜と助手席の方に追いやれば、困ったように笑って「ありがとう」と言われて。
「別にそんなに疲れてへんけどなぁ?」
『だーめ。ほら糖分とって!寝てもええから!』
「なんやねん、彼氏か(笑)」
そうなったらええと思ってるけど…とは言えないけれど。「ならちょっと寝ようかな〜」と椅子を倒していく重岡くん。
「そういえばさっきのことやけど、」
『言いたくなかったら、言わなくていいっすよ』
「…ん、そやな。ありがとう」
ただの後輩に相談したところで…という話ではあるだろうし。重岡くんの言葉を遮れば、素直に頷いた。
でもその後すぐに重岡くんは口を開いて
「けど、ほんまにキツくなったら頼ってもええか?」
思いがけない言葉に思わず助手席に顔を向けたけど、その目が少し潤いを帯びているような気がして、すぐに向き直った。
『…俺でよかったら、いつでも』
「ふふ、ありがと」
弱々しい先輩には、なんだか調子が狂う。
今すぐにでも抱き寄せて頭を撫でてやれないのが悔しくて、ただの後輩に過ぎない自分に嫌気が差した。
『やっぱ安いレンタカーやと座り心地微妙っすね』
「おま、俺が言わんでおいたことをサラッと言うなや」
『あ、すいません(笑)』
先輩は優しいから、俺に嬉しい言葉をたくさんかけてくれるけど。
いつか重岡くんにとっての一番が俺になったらええのに…なんて、叶うはずもない幻想を抱きながらアクセルを踏んだ。
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ナ(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、初めまして。とても嬉しいコメントをありがとうございます!少しずつ更新していきますので、最後まで見守って頂けたら有難いです。 (2021年7月11日 23時) (レス) id: db537413ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - はじめまして!すごく面白いです。2人の柔らかい空気が伝わってきて読んでてほっこりします。続きも楽しみにしています♪ (2021年7月11日 1時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナ | 作成日時:2021年7月1日 16時