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先程寄ったPAの自販機で買った2本のペットボトルが、ドリンクホルダーでカタカタと揺れる音が目立つ。
それくらい、車内は静かで。
『…あの、運転任せちゃってすんません』
「んー？全然ええで、運転好きやし！」
『疲れたら代わるんで』
「ええって！今は運転したい気分やねん」
口元をきゅっと結んで微笑んだ重岡くんの横顔を見つめる。
…多分、いや確実に、いつも通りではない。
ちょっと懐かれてる程度の後輩とのドライブなんて、正直めんどくさいやろな…とか、やっぱりもっとタイミング考えるべきやったな…とか。
ぐるぐると頭のなかで負の思考がループする。
一旦頭をクリアにしようと窓の外に目線を向けてみたけれど、そういえば今は高速道路を走っているところで。
「景色変わんないなぁ。もうちょっとで抜けられると思うねんけど…」
『え？あ…そうっすね』
突然話しかけられて慌てて振り返れば、重岡くんもこちらにチラッと視線を向けながら「退屈させてごめんなぁ」なんて眉を下げている。
『退屈やないですよ。重岡くんとおったら基本、それだけで楽しいんで』
「おーおー、口が上手いなぁ藤井！」
全然本音ですよ、なんて照れくさくて言えないけど。
いかにも「安全運転します！」みたいな顔の重岡くんが意外にも片手でちょっと気怠げに運転している姿は、俺的に結構、クるものがある。
『ラジオとか流しません？』
「あー、そやなぁ。お願いできる？」
『適当に回しときますね』
静かだった空間が、一気に賑やかになる。
むしろ愉快すぎるくらいの音楽は、この空間にはかなりアウェイで可笑しかった。
＿＿続いては…
ジューンブライドは過ぎたというのに、流行りだからといって流れ始めた若手アイドルのウエディングソング。
嫌でも思い出してしまう。
"重岡さん、結婚近いらしいよ"
ほんまなん？いつ？と今すぐ問い詰めたいくらいには、今日という今日までずっとモヤモヤしていた。
やけど、いち後輩である俺がそんな感情を抱いているなんて、この人は知らない。
だからこのモヤモヤは閉じ込めておくべきだ、そう思っていたのに
「…藤井はさぁ、結婚したいと思う？」
なんて、重岡くんが言うから。
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ナ(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、初めまして。とても嬉しいコメントをありがとうございます！少しずつ更新していきますので、最後まで見守って頂けたら有難いです。 (2021年7月11日 23時) (
レス) id: db537413ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - はじめまして！すごく面白いです。2人の柔らかい空気が伝わってきて読んでてほっこりします。続きも楽しみにしています♪ (2021年7月11日 1時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナ | 作成日時：2021年7月1日 16時
