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#12 ページ12

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日程は次の日曜。
特に行先は決めず、ドライブでもしようかぁ、なんて話でまとまった。




「藤井さん、おはようございます」

『おはようございます』

「…なんか元気そうですね?」

『え…ほんまに?』



すれ違った女性社員に言われ、自分の頬が少し緩んでいたことに気がついた。



「何かいい事でもありました?」

『や、うーん…まあ、あったかも』



朝から重岡くんに会えたこと、日曜に出かける予定が決まったこと。俺の中では、かなり一大事。



…まあ、右手には相変わらず、彼女さんが作ってくれたであろうお弁当用の小さなカバンがあったけど。




じゃ、今日も頑張りましょう、と軽く挨拶を交わして、デスクへと腰掛ける。




無心でパソコン作業をする午前。
なんとなく、いつもより集中が続かない。




『……あんな綺麗な弁当作るなら、素敵な人なんやろうなぁ』




しかも同棲。おそらく順調。
つくづく勝ち目なし。




このまま重岡くんと先輩後輩の仲を深めて、それなりに毎日楽しければいいか、なんて漠然と思っていたけど…




こんな不毛な片想い、果たして俺はいつまで続けるつもりなのか。




別れて欲しいわけやないし…かといって別れて、俺にチャンスがあるとも思えんし…




負の堂々巡り。




行き場のない気持ちのせいでムシャクシャして、ペットボトルの深蒸し茶をぐっと飲み干して気合いを入れようとしたところで、近くの同期の会話がふと耳に入った。




「営業の重岡さん、結婚近いって噂本当なのかな?」





閉めようとしたキャップが、力なく落ちて転がった。









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(プロフ) - ゆうみさん» ゆうみさん、初めまして。とても嬉しいコメントをありがとうございます!少しずつ更新していきますので、最後まで見守って頂けたら有難いです。 (2021年7月11日 23時) (レス) id: db537413ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - はじめまして!すごく面白いです。2人の柔らかい空気が伝わってきて読んでてほっこりします。続きも楽しみにしています♪ (2021年7月11日 1時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年7月1日 16時

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