マリーゴールドの遺品 (ページ34)

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瞬間記憶能力ページ34

午後9時半頃、自室に戻った私は今日あった出来事を頭の中で整理しつつ、どうしようもない不眠症に呆れかけていた。もう丸々3日寝ていない。眠いのに頭がゴチャゴチャして寝れない気がして、何かしようと周囲を見渡す。クローゼットの中には昨日寝れず暇つぶしに描いた絵が仕舞われていることに気がついた。

レイチェル「…………今日も描くか」

私はそっとキャンバスを開き画用紙を設置する。

レイチェル「クレイドルってさいいよね、こんなにも綺麗でさ」

モノクロな自国と比べて鮮明に見えるこの国はとても輝かしくどれも美しいものばかりだ。文明の発展は衰えてはいるもののそこに素晴らしさがある。電球などの便利な品がない代わりに夜月が部屋の中を照らしてくれる。私はそっとカーテンを開けてテラスに出てキャンバスと椅子を立てかけた。そして椅子に腰掛けてここから見える景色を一望した。様々な花草を見て一息する。鮮やかな花達が私の色覚を彩る。

レイチェル「……描くか」

意識を絵に研ぎ澄ませ、描き始めた。薔薇の骨格や庭の構成、どれも全て太陽が当たる確率で計算された位置に設備されており、常緑樹が多い。手入れがあまり要らない利点と年中この景色を見ることが出来る素晴らし差を兼ね備えており、我ながらも感嘆していた時だった。

ランス「そこで何をしている」

ふといつの間にかランスロットっとが立っていた。

レイチェル「レディーの部屋に入る際はノックするんじゃないの？」

ランス「したが、何も返事がなかったぞ」

我ながらもそんなに集中していたことに驚いた

レイチェル「ごめんなさい、気付かなかった。……所でこんな夜遅くにどうしたの？」

ランス「礼を言おうと思ってな」

レイチェル「私、あなたになにかしたかしら？」

ランスロットとは今日初めて話したはずだけれど、何かしたか記憶を辿っても彼とは話していない。

ランス「ゼロを助けてくれたことだ、銃も剣も使わず倒したとは中々の勇者であるぞ」

あのことか私は返事に戸惑ったが口車に任せておいた。