変人野郎を黙らせるには。 (ページ7)

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言ってしまってから気づく。

面倒な事が起きそうな予感。

じゃあね、と無視をして自分の教室へ向かうと

それから追っては来なかった。

何を考えてるのかよくわからない人だ。

しかし結局、さっきの入部届けは

受け取らないままだった。

休み時間、また教室訪れてきたかと思えば

ノートの切れ端を丸めたような

ゴミを渡して来た。

それが何かはよくわからなかったが

広げてみれば黒のマジックで

文字が書かれていた。

ほんの少し滲んでいて

もの凄いスピードで書いたのか

あまり綺麗とは言えない字で。

さっきの入部届けの文字は

以外と綺麗に見えたんだけどな。

ほんとに、何がしたいんだか

わからない。

「あ、来てくれたんだ」

「用事あったから、ただのついで」

昼休み、静かな図書室。

椅子に座って

目が合えば子犬みたいに笑う。

「そっかそっか」

にこにこと見詰めてくる視線に、

「…あんたのために来たわけじゃない」

「んは、棗ちゃん僕何も言ってないよ？」

ニヒルに笑う姿に腹が立つ。

言い返す言葉が無い。

「な、」

頬の温度が上がってる気がして

向かい合う斜め前の席に

どかりと座る。

持ってきたお弁当に手をつけようと

お弁当箱を解くが力が入らない。

額に変な汗が流れた様な気がした。

動揺してるのか私。

突然、伸びてきた手が

いとも簡単に開けてみせた。

お礼の言葉が漏れる前に

ぽんと頭に乗っかる手。

大きくて、あたたかい手。

びっくりして

目を合わせる事が出来ない。

「な、何す…」

「かわい、」

ぎょっとしてその手を

暴れる様にして振り払った。

勢いが良すぎたのか、

バランスを崩して

椅子から落ちそうになった。

「おっと、あっぶねー」

直ぐ間近で聞こえる声に

瞬きも忘れた。

机に身を乗り出して

私を抱き留める腕を

ただただ見つめていた。

「…あ、ごめん…つい…」

その本人も驚いた様子ではにかむ。

さっきまでとは違う態度に

戸惑いを隠せない私は

大丈夫と、呟くだけで。

無駄な沈黙がとてつもなく

長く感じたのは

気の所為なんだろうか。