変人野郎を黙らせるには。 (ページ3)

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室内は昨日よりもジメジメしていた。

今日は雨。

そして憂鬱。

昨日のあの変な奴が気になってしまう。

本当に今日、来るのかな。

期待してる訳ではないし、

寧ろ来ないでいただきたいが。

会いたく無いなら

私が帰ればいいのだろうけど

一応、図書部に所属する出前

活動はしなければならない。

本に夢中になっていたところ、

「その本、面白い？」

「…っ、」

机に身を乗り出して

私の視界に、無理矢理入り込む人物。

吐息交じりの声に本をボトンと

机に落としてしまった。

読んでいたページ数がわからなくなった。

相手の質問には答えずに無言で視線をあげた。

「こんにちは、」

目の前にいたのは、昨日会ったばかりの

男子生徒。

昨日よりも制服を少し着崩していて

前髪にはちょこんと、前髪が輪ゴムで

結ばれている。

それを見つめる私に気付いたのか

喉仏が動き、それに合わせて

柔らかい声が届いた。

「見とれた？」

端麗な顔が妖しく微笑む。

「ありえない」

そのちょんまげから目を背け

そう冷たくいい放ち、

本を取ろうとしたところ

スッ、と本を遠ざけて

私が届かない位置にずらしにかかる。

いちいち面倒臭い、と思いつつ

腕を伸ばし、返してとせがむが

聞き入れてはくれない。

むしろ、あのさあのさ、なんて

ニコニコした顔でグイ、と距離を詰めた。

その距離の近さに一瞬、呼吸が止まる。

「っなに、」

「お願いがあるんだ」

「……、」

「………は。」

何を言っているんだこの人。

頭の中がごちゃごちゃで、

状況をまだ完全に理解出来ない。

だがその男子生徒は静かに私を見つめ

低めの声で、

もう一度はっきりと繰り返した。