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相手にするのをやめようと、
鞄を手に取り帰ろうとしたところ
腕だったら可愛かったものを
グインと鞄を捕まれて
後ろに引き戻されてしまった。
勢いが良かったためか脳みそが
頭の中で動いた気がする。
「……なに」
「あのさ、」
「やだ。」
「…」
「やだ。」
「まだ何も言ってないよ」
私の鞄を掴んだまま、
ケタケタと、声をあげて
いかにも楽しそうな笑いが飛んでくる。
じとりと睨めば
更にぐい、と引っ張られ
「お話ししよ、」
「お断り」
即答で答えてやった。
ええっ、意地悪〜と
思ってもいないような台詞を
並べては緩やかに弧を描く口。
つい、舌打ちが口から漏れてしまった。
ちら、と時計を気にするふりをして
目をやればまだ5時すぎ。
それを見てかその男子生徒は
顔を覗く様に首をかしげた。
近い。
「もう帰るの?」
「…そうだけど」
「…ほう」
よく分からない回答に眉を寄せれば
なんだ、と大袈裟にしょんぼりしだす。
それを横目で見れば
バチリと目が合ってしまった。
慌てて目を逸らす私。
いや、何慌ててんの。
動揺?
え、なんの動揺…?
「ねえ、」
「今度は何」
「いつもここにいる?」
何が言いたいんだろうか。
いい加減鞄を離して欲しい、
という目で見つめればニコリと笑う。
「見つめられちゃった」
「……勘違い乙」
「はは、」
嫌味で吐いた言葉に男は照れた様に笑った。
なぜ笑う。
ドM?
一行に進まない、というか
別に進めたくないし寧ろ中断させたいのだが
そんな会話に嫌気がさして
鞄を思いきり引っ張った。
すると、あっさりと離されたそれ。
驚きを隠せないでいると
「明日、ここで待ってるから」
ひらひらと手を振りながら
図書室から出て行った。
なんだったんだ、一体。
最後に見えた、笑った口元が頭から離れない。
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作者名:Ritz | 作成日時:2013年11月6日 22時