琴線に触れる【イナズマイレブン】 (ページ5)

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19-0

目には見えていたものの、こんなに手応えが無い試合はあるのだろうか？豪炎寺修也が出てくる気配もなく、眼鏡をかけた男の子は試合放棄。

だがそんな中、キャプテンである円堂守がそれでもなお立ち上がる。

「まだ、終わってねぇぞ！」

往生際が悪い。負け犬の遠吠え。
言おうと思えばなんとでも言える。だが私は嫌にゾクゾクした。こんなにもむちゃくちゃなGKは見たことがない。ボードに挟んでいる紙に"円堂守"と書き出し、静かにそれを丸で囲んだ。

20点目が決まり、ボールペンのノック部を顎に当ててはうーんと頭を捻る。残り時間も少なくなってきた。ぐっとボードを見つめると、ざわざわと辺りが騒がしくなる。
…なんだ？頭をあげると、そこには10の背番号を背負い、雷門のユニフォームを着た豪炎寺修也の姿。

その姿に何故か目頭が熱くなる。

しかしそこで冬海が間に入ろうとして口を挟んだ。

「待ちなさい！君はウチのサッカー部では…」
「いいですよ。俺たちは。」

それを手で制し、私へ目線を有人は向ける。それに反応して審判や冬海が私の方を見る。…確認するまでもないくせに。監督の代理でもある私に一応と確認を取っているのだろう。

『帝国は問題ありません。どうぞご自由に。』
「そ、それでは、帝国学園が承認したため、選手交代を認める！」

それに慌てて審判も対応し、正式に交代が認められる。試合も再開し、早速デスゾーンを打とうとする佐久間達。だが豪炎寺修也はそれを止めず、真っ先に帝国のゴールまで走り出した。

それにも驚いたが、その後の円堂守の技にはもっと驚いた。この試合の中で1回も見せようとしなかった必殺技、ゴッドハンド。ボールペンを手からするりと落とし、カタン、と音を立てては地面に転がる。
この試合で完成させたと言うの？こんな土壇場で？だがそこで私は先程の彼の言葉を思い出した。

"まだ、終わってねぇぞ！"

終わっていないという心、そして豪炎寺君が来たというのもあるのだろうか…ここでデスゾーンをとめられたのは意外だったな。ボードを握る手がぐっと強くなり、そのボールは豪炎寺修也にへと繋げられる。
瞬時に目の前は炎でいっぱいになり、ほろりと少しだけ、涙を流した。

＿サッカーをする姿を、もう一度見れてよかった。小さい頃の私と豪炎寺君を思い出しながら、ふと微笑んだ。

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