琴線に触れる【イナズマイレブン】 (ページ3)

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episode.1 ページ3

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『…いよし。』

ジャージに着替えて更衣室で1人、頬を叩き気を引きしめる。これが私佐々木Aのルーティーンである。

まだ誰1人来ていないグラウンドに出てはボール出し、ドリンクやタオルの確認をしてからボードで確認をする。その途中途中で帝国サッカー部の人達がやって来たため度々挨拶を交わしながらもやっと終えた。

今日は万丈が最後に来たため、『早く、練習始まる。』と急かしては今日の体調面をチェックする。そこまで終えてからやっと練習が始まると思ったのに、総帥が私と有人を呼んだため自主練を続けるように有人は指示をして2人でついて行った。総帥の間では必要最低限口は開かない。私の中での暗黙のルール。
そうしなければ、いつ反抗してしまうか分からないから

『雷門、ですか…』
「…雷門は弱小校です。何故？」
「豪炎寺修也が最近転入してきた。」

豪炎寺修也。その言葉に反応しそうになったがぐっと堪えて総帥を見つめる。どうやら、豪炎寺修也の能力がどうなっているか確かめたいらしい。そのためにはきちんと見なければならないということ。私には何故総帥が豪炎寺修也を気にしているのかよく分からないが、この方なりの考え方があるのだろうと思考を切りかえた。

…豪炎寺、修也。私が有人と出会う前、私と一緒にサッカーをしていた子。しかし"鬼道"有人と出会ってからは私たちの親の関係で有人と会う時間の方が優先され、私が事故に遭ったせいで会うことはめっきり無くなった。

あれからは私は異様な虚無感と、そしてほんの少しの、

「…佐々木、聞いているのか。」
『！っは、はい。申し訳ありません。』
「いいか、1週間後だ。お前に限ってないとは思うが、選手のコンディションはお前が整えろ。いいな。」
『了解しました。』
「フフ…期待しているぞ。」

総帥の部屋を出るとそのまま2人でグラウンドに戻る。道中、有人が口を開いた。

「お前にはとことん迷惑をかけるな。今日から忙しくなるぞ。」
『今更だね。仕事は好きだよ、やりがいがあるのは尚更。私は帝国のマネージャーなんだから、こなしてみせる。』
「ふっ…頼もしいものだな。」

横目に有人を見るとちょうど目が合って、ふと笑みを零す。先程切りかえたばかりだと言うのに集中はもう切れかけていて、小さくため息を零した。グラウンドに着くまでに切り替えられるだろうか。そんなことを考えている頭の片隅には豪炎寺君がいた。

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