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写真を見て、涙とは裏腹に、あははと乾いた笑い声が出てしまう。そうだね、ベクちゃん、この時は同じ気持ちだったね、幸せだったね？この時は。
写真は確かにその当時の幸せを写していたけど、今になってその幸せが存在しないなら、意味ないじゃん。そっと写真に手を伸ばす。今どき写真を現像するなんて珍しい世の中で、よくしたものだ。
そんな昔の行動に感心しながら、もう片方の手も写真に添える。何をするかって、やる事はひとつしかない。この時の私も、ベクちゃんももう居ない。だから、過去を残す必要なんてない。それに、この家に私がいたことを証明するものは何も必要ない。
ビリ！私とベクちゃんの間を割いて破る。滑稽だった。今の私たちってまさにこういう状況じゃない？あっという間に破れちゃう関係。ああ、しょうもな。
迷いなく、他の写真も破る。要らないもん、思い出なんて私が一番捨てたいものだから。
『･･･終わっ、た』
全部のゴミ袋の口を縛って一息つく。笑ってしまう。浮気されてるベクちゃんとのものがこんなにあったのかって思うと。とんだ馬鹿な女だ。
基本、私のものや、私がベクちゃんにあげたもの、逆にベクちゃんが私にくれたもの、ぜーんぶ。このゴミ袋の中。
部屋を見渡してみれば私のものがなくなっただけで閑散としてしまった私たちの家。もうこれからは、ベクちゃんだけの家だけど。でも、この方がベクちゃんにとってはいいだろう、これで思う存分あの女を連れてこれるでしょ？
『明明後日には、ベクちゃんとあの女の家になってたりして』
なんて言いながらも、もし本当にそうなってたら、ベクちゃんのことぶん殴るだけじゃ済まなくなりそう。
家だけは、私とベクちゃんのこの場所にだけは、それ以外のことは気付かないふりすることが出来ても、これに関してだけは無理だった。
だってこのゴミ袋の量が物語ってるように、この家には思い出が残りすぎていたから。笑える話だけど私にとっては砦のようなものだった。確かにあの女の場所に夜いってるけど、それでも帰ってくる場所は誰がなんと言おうとこの部屋だったでしょ？
なーんて、思っていたのも、数時間前までの私だけど。ベクちゃん、もうやめるよ、この部屋で一人で夜を明かすのもベクちゃんを待つのも。
ベクちゃんを好きなのも。
ベクちゃん、私弱い女じゃないの。
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りん(プロフ) - 百川さん出来れば、消さないで欲しいです。思い出の物とその時の気持ちを捨てるって難しいですね… (2020年2月6日 20時) (
レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 仕方ないです。少なくとも、時間がかかりますね。アイドルが結婚これは、永遠の課題。 (2020年1月19日 20時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - すごく分かります！またお会いできることを願っております！ (2020年1月18日 23時) (レス) id: a54c710a34 (このIDを非表示/違反報告)
志乃(プロフ) - 来年の更新楽しみにしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: b8cc8aaaa6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - こんにちは。 来年まで楽しみにしています！ (2019年11月6日 8時) (レス) id: c3cca9217a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百川 | 作成日時：2019年4月14日 0時
