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大丈夫ですか？と店員さんが問いかけてくる。
大丈夫です、そう伝えられても足には力が入らなくて壁に寄りかかってしまう。そんな私を支えようと手を伸ばしてくれるけど、思わず手をはねのけてしまう。
しまった、この人悪くないのに、なんか手が綺麗でベクちゃんみたいだったから、思わずやってしまった。すみません、もし何か聞かれたら会社に戻ってその後帰ると言っていたと伝えておいてくれませんか。
それだけ言って、足早にお店を去る。
勿論会社になんて行かない。もし、ヨリなんかに伝わった時に直接家にこられたら困るから、１回会社に寄り道してもらう。所謂時間稼ぎだ。
一人でやらなきゃ、
最後は一人で片付けなきゃ、
今日は高くないヒールで良かった。ただがむしゃらに家に帰るために走る。化粧も涙で落ちていて、髪も乱れて、傍から見ればどう考えても何かあった可哀想な女。
でもそんな事はもうどうでもいい。
早く捨てなきゃ。捨てなきゃ。
家に着いて直ぐに台所に向かってゴミ袋を引っ張り出す。その後はもうただ無心に、目に付いた物を袋の中に放り投げた。
ベクちゃんとのお揃いのものをあった。ベクちゃんが私にくれた物もあった。私がベクちゃんに買ってあげたものもあった。
でも一通りゴミ袋に入れてから気づいた。
『あれ･･･私結構捨てられてなかったんだあ』
目の前にはゴミ袋の塊が積み重なってる、おかしいなあ、ちゃんと捨てられてると思ってたのに。そうか、こんなに多かったんだ。ベクちゃんとの思い出は、こんなに。
へな、っとまた力が抜けて床に崩れる。その時足で何かを引き摺るのを感じて見てみれば、落ちて中身が出たのか散らばった無数の写真。一瞬で視界が歪んだ。なんでかって、理由は簡単だった。
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『ベクちゃん〜はいチーズ』
「初デートなんだからもっと笑えよ〜･･･」
『写真で笑うの苦手なの』
「俺といても？」
『誰といるかは関係なくない？』
「････これがAの一種の愛情表現だと俺は分かってるからな」
「ま、とにかく笑えよ〜なんかしてあげよっか？」
『何かって例えば？』
「ん〜、カメラ貸せよ」
『はい』
「Aはずっとカメラ見てて」
『え？あ、ちょ』
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写真の中のベクちゃんは私の頬にキスしていて、私は写真で笑うことが苦手なのに、その時はすごく上手に笑えていて。
ベクちゃん、ねえ、ベクちゃん。
私たち、この時は同じ気持ちだったのにね。
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りん(プロフ) - 百川さん出来れば、消さないで欲しいです。思い出の物とその時の気持ちを捨てるって難しいですね… (2020年2月6日 20時) (
レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 仕方ないです。少なくとも、時間がかかりますね。アイドルが結婚これは、永遠の課題。 (2020年1月19日 20時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - すごく分かります！またお会いできることを願っております！ (2020年1月18日 23時) (レス) id: a54c710a34 (このIDを非表示/違反報告)
志乃(プロフ) - 来年の更新楽しみにしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: b8cc8aaaa6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - こんにちは。 来年まで楽しみにしています！ (2019年11月6日 8時) (レス) id: c3cca9217a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百川 | 作成日時：2019年4月14日 0時
