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「あ〜腹減った･･･」
『仕事出る前にご飯作る？』
「え、いいの？」
『うん、まだ時間あるし』
握り締めていた物はひとまず元の場所に戻す。捨てそびれたなあ、スッキリしないじゃん、ベクちゃんのせいで。そう考えてしまうのと同時に、
『･･･久しぶりにベクちゃんにご飯作るね』
「え？あ、･･･そうだなあ」
『朝で時間ないから手抜きだけど』
「えっ心込めろよ〜」
馬鹿みたい、本当に、馬鹿みたい。何が嬉しいんだろう、なんで嬉しいなって思ってるんだろう。
ベクちゃんは他の女といた帰りであって、好きでもない私のご飯を食べるっていうだけで。
それなのに、久しぶりにベクちゃんに食べてもらえるのが、なんで嬉しいんだろう。
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「A、つらい？」
「僕はつらいよ」
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ジョンデがそう言った時のことを思い出した。つらくは、ない。そう答えた。そう答えられたはずなのに。
ハッとして料理をしていた手が止まる。私、何してるんだろう。ご飯を作る？誰に？ベクちゃんに？
なんで？なんでベクちゃんに作るの？
嬉しい？なんで？好きだから？
コンロの火を消した、まだ火が通ってない卵をそのまま生ゴミ入れに捨てた。私の中のかわいそうな"私"が言った。
でもベクちゃんは私のこと好きじゃないよ。って。
お鍋に水を入れて沸騰させて、単なるインスタントラーメンを作る。ベクちゃんにちゃんとした料理を出さないのは今日が初めて。
『はい』
「･･･え」
『どうかした？』
「･･････A、インスタント作るの、初めてじゃ」
『いいでしょ？今のインスタント美味しいじゃん』
「･･･Aのご飯食いたかったんだけど？」
『あはは、用意してる時に飲み会だって言って帰ってこないで食べないのはベクちゃんでしょ〜』
危ない、危なかったあ。流されるところだった。素直に嬉しいって喜んじゃうところだった。朝ごはんだからと言ってベクちゃんへの久しぶりの料理って張り切っちゃう所だった。私の好きって気持ちをベクちゃんにあげちゃう所だった。
私のこと好きでもないベクちゃんに。私を裏切ってるベクちゃんに。
帰ってこないベクちゃんに。
これから捨てるベクちゃんに。
『じゃあ行ってくるね』
「･･･っ、A！」
『あ、今日も遅い？遅いよね』
「待てよ、！」
『会社で会ったらね〜うちとの企画今日も頑張って〜』
「っA！」
あの女と、ね。
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りん(プロフ) - 百川さん出来れば、消さないで欲しいです。思い出の物とその時の気持ちを捨てるって難しいですね… (2020年2月6日 20時) (
レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 仕方ないです。少なくとも、時間がかかりますね。アイドルが結婚これは、永遠の課題。 (2020年1月19日 20時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - すごく分かります！またお会いできることを願っております！ (2020年1月18日 23時) (レス) id: a54c710a34 (このIDを非表示/違反報告)
志乃(プロフ) - 来年の更新楽しみにしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: b8cc8aaaa6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - こんにちは。 来年まで楽しみにしています！ (2019年11月6日 8時) (レス) id: c3cca9217a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百川 | 作成日時：2019年4月14日 0時
