015 ページ16
.
鏡に映る自分の首元を見て笑ってしまった。何も面白くて、はたまたそれが嬉しくて笑ったわけじゃない。呆れてしまうほどに、そこにはベクちゃんの赤い印が付いていた。
ああ、受付嬢の制服が首元が隠れていてよかった。
今日の朝は、ベクちゃんは隣にいた。
でも私はこの前みたいに、ベクちゃんの体温を探して手を伸ばすことも、おはようって声をかけることもしなかった。
起きてすぐ考えたのは、あ、今日はテーブルにひいてある私のランチマットを捨てよう。それとベクちゃんと買った小さい物入れと、ベクちゃんが買ってくれた可愛い花瓶も。
『行ってくるね、ベクちゃん』
まだ気付かなくていいからね、ベクちゃん。
.
.
「はよ！A！」
『･･･あ、ヨリ』
「･･･おい〜〜今度はお前がそんな対応になるなよ？」
『あ、ごめん』
「へへ、今日はA受付嬢に言われる前にちゃんと部署行きまーす！」
『あはは、行ってらっしゃい』
全部捨て終わるまで待ってるから、とあの時ヨリは言ってくれた。あの時、ベクちゃんのしている事について言及しなかったヨリには感謝しかない。カフェでの私の言い草の意図をヨリは分かっていたのだろう。
私がどういうやり方で、ベクちゃんと終わらせるか。
あの時点でベクちゃんについて突っかかることは、私が望んでいる事ではないと分かっていてくれたからこそ、ヨリは私に全て捨て終わるまで。と言った。
『･･･流石ヨリだね〜』
「オンニは早くチャニョルさんと付き合うべきですよ！」
『･･･ええ？』
「ふふ！あんなさっきチャニョルさんに話しかけられて動揺しちゃって〜オンニ〜！首元隠しきれてないですよ！昨日チャニョルと何したかバレバレですっ」
そう言って笑う後輩に、そうだね、付き合うよ。って言えたらどんなに良かっただろうか。
後輩にこの痕が見えたってことは、ヨリにも見えてたのかな？ヨリ、なんて思っただろうか。それを見ても、ちゃんと私のベクちゃんへの意図を汲み取ってくれるかな？
そんな事を思う自分に、最悪だと感じた。ヨリを利用したくないくせに、ヨリには味方でいて欲しい、私を分かって欲しい、なんて。
いつもそうして傍に居てくれたヨリだから。
例え、私にベクちゃんという存在が出来ても。
例え、私がこれからベクちゃんにどんなに酷い捨て方をする女だとしても。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りん(プロフ) - 百川さん出来れば、消さないで欲しいです。思い出の物とその時の気持ちを捨てるって難しいですね… (2020年2月6日 20時) (
レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 仕方ないです。少なくとも、時間がかかりますね。アイドルが結婚これは、永遠の課題。 (2020年1月19日 20時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - すごく分かります！またお会いできることを願っております！ (2020年1月18日 23時) (レス) id: a54c710a34 (このIDを非表示/違反報告)
志乃(プロフ) - 来年の更新楽しみにしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: b8cc8aaaa6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - こんにちは。 来年まで楽しみにしています！ (2019年11月6日 8時) (レス) id: c3cca9217a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：百川 | 作成日時：2019年4月14日 0時
