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Aがケムシに刺されて泣いていた。痛い、ヨリ助けて。そう言って泣くAの姿が俺にとってはある意味トラウマだった。涙を流して俺の名前を呼ぶAは、幼いのもあっただろうけど酷く弱そうで。
小学生の時も、絵を描くのが好きだったAが、これはきっと知らないだろうけどあいつの事を好きだったクラスの男子にぐちゃぐちゃにされた時、泣きそうな顔で大丈夫だと俺に言った。
Aは運動が嫌いだから、体育祭なんかではよく転んだ。中学の時も、高校の時も。そうするとまた泣きそうな顔で大丈夫だと言う。
その度に俺は、Aの涙がもう絶対にその大きな目から流れないように。と、あいつの傍に直ぐに駆け寄っていった。
泣いているAを初めて見たとき、そのトラウマを感じたのは、単純に好きな人の泣き顔だったから。
そんな悲しい顔は、見たくないから。
あいつは、俺の事を腐れ縁だという。何度もその肩書きに嫌気が差した。それと、あいつにとってそれ以上の存在にしかなれない自分に。
Aが俺の気持ちに気付いていながらも、応えようとする気は無いのはもう十分わかっていた。でもAは俺の傍を離れることはしなかった。俺はそれが苦しいと感じながらも、
Aにとっての特別は俺だと認識していた。
Aの隣にあの男が居るようになるまでは。
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「･･････は？」
『ヨリがは？なんて言うの珍しい〜』
「いや、･･･まって」
『うん待たない。もう一回言うね、彼氏出来た』
その時のAは、俺がずっと隣にいても、見たことのない顔で笑っていた。その時気付いたことは、俺はこいつを笑顔にさせるんじゃなくて、ずっと悲しい顔にさせないように。と、それだけしかしてこなかったんだということ。
俺じゃない誰かには、こいつを笑顔にすることが出来たんだということ。
その俺ではない知れない誰かに、心臓をぐっと締められた気がした。知れない誰かに笑われている気がして、俺はその時どんな顔をしていたのか覚えていない。
ただ、Aが幸せそうに笑っている姿だけは、酷く覚えていた。
俺がそうしたかった。
俺が、お前の隣で。
なんで俺はお前の隣で、お前を幸せにできないの？
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『･･･ヨリ、』
なんで、俺の見たくない悲しそうな顔してんだよ。
「全部捨て終わるまで待ってるから」
俺はお前のそばに居るから。
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りん(プロフ) - 百川さん出来れば、消さないで欲しいです。思い出の物とその時の気持ちを捨てるって難しいですね… (2020年2月6日 20時) (
レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 仕方ないです。少なくとも、時間がかかりますね。アイドルが結婚これは、永遠の課題。 (2020年1月19日 20時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - すごく分かります！またお会いできることを願っております！ (2020年1月18日 23時) (レス) id: a54c710a34 (このIDを非表示/違反報告)
志乃(プロフ) - 来年の更新楽しみにしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: b8cc8aaaa6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - こんにちは。 来年まで楽しみにしています！ (2019年11月6日 8時) (レス) id: c3cca9217a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百川 | 作成日時：2019年4月14日 0時
