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俺を利用してよ。その言葉の意味を分かりたくなかった。突き放そうとしても、ヨリは決して私を抱き締める力を緩めようとはしなかった。
お互いもうきっと酔いなんて覚めているのだろう。それでもやっぱりお酒を飲んだあとだから、身体は熱い。そんな熱い二人の体温が合わさってるものだから、余計熱くて、同時に胸が酷く締め付けられた。
『･･･っヨリ、ごめんそんな事言わすつもりじゃ』
「分かってる、分かってるよ」
『じゃあ、』
「Aはそんな事するなんて思ってないよ、でももう俺が無理」
「俺がして欲しい。利用して欲しい。」
「利用されてるって分かったとしても、あんな男の隣じゃなくて、俺の隣で笑ってくれる事実の方が俺は望んでるよ」
何も返せなくなる。
こんな時間に帰ってくる人なんて居ないから、エレベーターホールに居たって私たち以外その場には現れない。ヨリとのその空間が酷く辛い。でもそれと同時に、ベクちゃんに抱きしめられた時のような心地良さがあった。
誰かがきて離れてしまいたい。でも離れたくもない。そんな意味の分からない矛盾した思考が私をいっぱいにした。
ヨリ、そうまた彼に声をかけようとした時だった。
エレベーターが降りてきた表示とそれを告げる音がホールに鳴り響いた。
「･････････おい、」
『･･･』
「･･･何してんの？」
このトーンのベクちゃんの声を聞くのは、あの時ぶりだ。あれ、おかしいな、さっきまであんなにドキドキしてたのに。ベクちゃんが来たとわかった瞬間、何故か私の心は余裕で満ち溢れた。
「こんな帰り遅いと思ったらさ、」
「こんなバレるところで、抱きしめあってんの？」
「･･･おい、A、聞いてる？」
ずっと肩にうずくまっていたヨリの顔が上がるのが分かった。そして私のことをその体から離すと、ベクちゃんに視線を向けて、次にまた私を見た。
ヨリは分かったような表情でこっちを見ていた。
「A、前捨てるって言ってたよな」
『･･･』
「俺、全部捨て終わるまでそばに居るから」
『･･･ヨリ、』
「急にごめん、またな」
そう言うとヨリはベクちゃんの方は見もせずその場を去っていった。
残された私は、ただずっとヨリの後ろ姿を見ていた。
すると今度は、後ろから強く引き寄せられて、またあの時みたいなキスが降り注いだ。
ああ、ベクちゃん、捨てられるのがそんなに嫌？
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りん(プロフ) - 百川さん出来れば、消さないで欲しいです。思い出の物とその時の気持ちを捨てるって難しいですね… (2020年2月6日 20時) (
レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 仕方ないです。少なくとも、時間がかかりますね。アイドルが結婚これは、永遠の課題。 (2020年1月19日 20時) (レス) id: 1dd6c0734d (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - すごく分かります！またお会いできることを願っております！ (2020年1月18日 23時) (レス) id: a54c710a34 (このIDを非表示/違反報告)
志乃(プロフ) - 来年の更新楽しみにしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: b8cc8aaaa6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - こんにちは。 来年まで楽しみにしています！ (2019年11月6日 8時) (レス) id: c3cca9217a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百川 | 作成日時：2019年4月14日 0時
