Another trip over the wall3[東京リベンジャーズ]

3. ページ27

そう言って、目を伏せた。
怒ってるだろうな、ドラケン。

しばらく静寂が流れた後、ドラケンがゆっくり口を開いた。


「オマエ、こんな大変だったのに1人で抱え込んでたのか。」


予想に反してその口から出たのは、優しい言葉。


「…怒ってないの？」

「怒ってねえよ。全部知ってて1人で闘ってたんだな。」

「何で？なんで責めないの？」

「言ったろ。責めるつもりはねえって。俺はただ知りたかっただけだ。ダチに隠し事はナシ、だろ？」

「許してくれるの？」

「だから怒ってねえよ。話してくれてありがとうな。辛かったろ。」


そう言って笑うドラケン。優しさが、冷えたからだをじんわり暖めていく。

「ちょっと、電話をしなきゃいけねぇからそこで待っててくれ。」


そう言ってドラケンは部屋を出ていった。
その瞬間、堰を切ったように涙が溢れてくる。
誰も見ていない狭い部屋で、私は声を上げて泣いた。

今までの罪を洗い流し、涙は私を清めるかの様に流れていく。
その雫が、犯した罪が消えるまで私はひたすら泣いた。


10分程して、ドラケンが部屋に戻ってきた。

もう一度、私の横に腰掛けると、今度は明るい調子で話し出した。


「さて、さっき怒ってねぇっつったろ。正直に言うと、アレは嘘だ。」

「へ？」

「俺は怒ってる。お前がそうやって1人で抱え込んで、誰にも言わずにいなくなって、みんなに心配をかけたことにだ。」


怒ってる、と言われた瞬間本気で道玄坂の道路のシミになることを覚悟したので、ほっと胸をなでおろした。


「お前が居なくなった間、俺の何倍も心配して焦ってた奴がいる。許してもらいたきゃ、ソイツに会って話せ。」

そうドラケンは続ける。

「お前の退院の処理とかもあるだろうから、日付は2日後。12月28日の、夕方4時。荒川の土手でそいつはお前を待っている。」

そう言うと、ドラケンは少し真面目な表情になった。


「そいつはな、俺よりもお前に対して怒ってる。だから、お前は許してもらうためにあいつのお願いを一つ聞いてやるくらいしなけりゃダメだ。多分、アイツはもうそのお願いを決めてる。」


何の話かイマイチよく分からない。頭にはてなマークが浮かぶ。
ドラケンは微笑みを浮かべると、私の方に向き直って言った。


「出来れば、その願いを叶えてやってくれ。俺からも頼む。」


私は静かに頷いた。

Day after tomorrow→←2.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す